今日は博多駅近郊の会議室でBasic Courseの2回目が行われた。
本日の内容は根管形成の方法と根管充填の実習である。
USCでは以下のように治療は行われる。
以上のように根管形成が行われれば良いがそれはまず不可能なのでそれぞれを解説していくことになった。
まず歯に穴を開ける。
その後に行うことは根管上部の拡大である。
根管上部の拡大にはProTaperのSXを用いることが多い。
なぜGates Drillを用いずにSXを使用するのだろうか??それに関してProTaper SXの形態に注目して説明した。
ヒントはその形態である。
ではProTaperのSXはどこまで挿入すればいいだろうか??であるがこれに関しては答えはない。
実習で各自がコツをつかむしかないのだ。
ただ注意しなければならないのはProTaper SXは破折しやすい。したがって通常私は1回使用したら廃棄する。
さてSXで上部を拡大したらC+ Fileを挿入していく。
挿入の順番は#10→#8→#6である。
では#6でも穿通できないときはどうすればよかっただろうか??
と言えば、#10.05のNi-Ti Fileを高速に回転させて機械的に穿通する方法を教えた。
そしてそのやめ時・引き時に関しても教授した。
しかし同時にこの方法は湾曲した根管では使用できない。湾曲をこの方法で穿通させようとするとファイルが破折することが多い。
常に新品を使用する必要がある。
ここができるかどうかで根管治療の運命が決まる。
穿通するとRoot ZXを用いるがどのような使用方法が正しい使用方法だろうか??
Root ZXの使用方法について整理し教授した。
Apexとは何を意味するのか?解剖学的なApexのことではない。本来は説明書を参考にすればApexにあるときにファイルの先端はApical Foramen(Major Foramen)に存在する。
したがって正しくは、Apical Foramen Locaterという名前が適切である。が、Apexとあえて名付けたのはなぜだっただろうか??
USCではWL=Apex-0.5mmであったが、日本ではWL=Apex-1mmである。その理由はなぜだっただろうか??
さてWLを求めることができれば次は作業長までグライドパスである。
グライドパスは使用するNi-Ti Rotary Fileが破折することを予防してくれる。
一般的には#15の手用ファイルを用いるが、現代では#15のNi-Ti Rotary Fileで機械的に行う。その理由が下の図に示されているが、あなたは今日それが理解できただろうか???
この際用いることができるファイルは多数ある。
何をどうしようすれば簡単にグライドパスができるだろうか??
私はHyFlex EDMの#10.05を用いるがそれはなぜだっただろうか???
グライドパスが終われば根管形成である。根管形成は何号まで行うのか?と言えばLiterature Reviewによれば#35以上と言われている。今日の実習で用いる器具であれば最低のサイズはつまり#40.04である。
しかしながら#40.04のガッタパーチャポイントが作業長まで入ることは滅多にない。
Single pointで根充した治療を評価する論文は最終拡大号数よりもワンサイズ小さなガッタパーチャポイントを用いている。
なぜだろうか??
それは形成するファイルと使用するガッタパーチャポイントの規格の問題である。
またMTAシーラー根充ではMTAが届けば良いのでガッタパーチャポイントがアンダーでも許容される。
大昔、ビタペックスで根充する歯科医院に就職してうちの歯科医院はビタペックスなんて使用してるよ!と馬鹿にしていたがなんと今は自分もそれをやっているという・・・時代は一周回ってしまったようだ。
またSingle pointで行う根充をよく見せようとするならばポイントは楕円形の根管のときである。
そのようなとき根充をする際どのように行えばうまく行っているように見せることができるだろうか?と思えば最近の論文に全て書いてある。
また再治療の際のガッタパーチャポイントはどうやって除去すればいいだろうか??それも論文に書いてある。
ちなみにガッタパーチャポイントは完全に除去することは不可能である。
完全に取れた!と思っても根管の中に必ず残存している。
一度入れたものは完全に除去は不可能である。
根管充填はSingle Pointで行う。その理由は次回説明していく。
と午前中はここまで説明して午後から実習であった。
実習はマイクロスコープはないので拡大鏡で行う必要がある。
これは講義では伝え忘れたが、拡大鏡がなければ、DR.KIMヘッドランプを勧める。
拡大鏡+ライト付きで105,000円(税別)である。
興味があればこの会社に知り合いがいるので連絡が可能である。
実習は私も毎回必ず説明するが自分がうまいことをひけらかす場ではない。
事実私は、大学時代実習はいつも遅かった。最後に残る何人かであった。それはどの実習でもだ。
稀に器用な先生もいる。そうした先生はラッキーだと親に感謝するべきだが大半の先生はそうではない。
でも大丈夫。何度もやれば一定レベル以上には絶対になるので。
根管治療は練習すれば必ず上手くなる。なので以後練習が重要だ。
今日悔しい思いをした先生は次回までに抜去歯牙を100本根管形成+根管充填してみて私に見せて欲しい。必ず良くなるから。
あと今日気づいたことはこれは仕方がないがやはり親知らずを持参してる先生が多数いたことだ。
親知らずは持参してもいいがあなたはそれを実際の臨床で治療するのだろうか???
治療する可能性がないなら親知らずを扱うことは時間の無駄であるので、次回はインド人の歯を用意してもいいが・・・
またわかったことと中に、#40.04で形成しても#40.04のガッタパーチャポイントは形成した部分にすっぽりと入ることはなかったであろうということだ。
Inlay形成・合着と違い、根管治療には遊びが必要だ。遊びを得るには自分が根管形成したサイズよりも充填物を小さくしなければならない。
ということで#40.04で形成しても#40.04のガッタパーチャポイントは入らないんだなということが理解できたと思う。
おそらく今日の材料の制限(ガッタパーチャポイントが#40.04しかなかった)の中では、#50.03もしくは#60.02でWLを根管形成をしてそれから#40.04のガッタパーチャポイントに戻らなければならないと思われる。
しかしそれしか材料がない、という状況ではこのようなシチュエーションは頻繁に起きることである。
全ての場面に対応できなければ根管治療はマスターできない。
ということでこの日の講義、実習は終了した。
最後に私が考える現時点でのベストな根管形成方法を教授した。
次回は9/27 (日)にまたしても博多駅近郊の貸し会議室で行われる予定である。
場所については決まり次第メールで受講生にお伝えします。
次回は、各種シーラーレビュー、各種根管充填法とその比較、エビデンスに基づいた最良の根管充填法とは?に関して講義を行う。
今日は長い時間お疲れ様でした。