紹介患者さんの治療。
患歯は#4.
主訴は右上の歯が常に腫れていて膿が出る、疲れている時に痛みがある、そして抜歯をしたくない、インプラントもしたくない
であり、なんとかして歯牙を保存したいという。
歯内療法学的検査は以下である。
#3 Cold+3/4, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#4 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#5 Cold+2/4, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
歯周ポケットは正常であるが、打診痛と咬合痛がある。
PAは以下である。
本来の根管の形成はされているが、歯牙の遠心中央部に穿孔も認められる。
患者さんは絶対に抜歯したくない、保存が第1希望である。
CBCTは以下になる。
本来の根管から大きく外れて根管形成・根管充填されていることがわかる。
遠心の歯槽骨は喪失している。
歯牙破折が疑われる案件だ。
そして次がCBCTの醍醐味の断層像。
さて歯牙は割れているだろうか?
と言えば、CBCTではわからない。
予想はできるがわからない。
割れているかどうかは直接見るしかないのである。
患者さんにはその話をした。
また、再治療でマネージメントできそうな予感はするが既に根管形成がなされていれば勝負には勝てないだろう。
その時は外科治療を行うと告げた。
一応、診断的には以下になる。
#4 Pulp Dx: Previously Treated, Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Perforation Repair→Re-RCT/ Apicoectomy
さてどうやって穿孔をリペアするか?であるが、根管治療をしてからリペアした方が良さそうだ。その方が治療が単純になる。
患者さんは治療計画に同意されて治療となった。
Re-RCT+Perforation Repair(2021.8.23)
PFMクラウンを除去し、メタルポストの除去を行ったが術前のPAからフィッシャーバーで全て削り取ろうとしていた私は迷いなくメタルを切削していった。
☆以下、治療画像/動画が出てきますので不快に感じる方は試聴をお避けください。
そしてファイルを挿入しようとするのだが、なぜか根管から出血が。
これも覚えていた方がいいが、
再根管治療で根管から出血があった場合、間違いなく穿孔によるもの
と言っていいだろう。
ファイルを試適したが、嫌な予感は当たっていた。
思いっきり穿孔していてそこにファイルが出てしまっていた。。。
Gutta Percha Pointを除去していくと本来の根管と穿孔部を見分けることができた。
本来の根管にファイルを挿入してみた。
今度はRoot ZXはピーピー鳴っていない。
しかし、IBFであるがスポスポであった。
記録によれば、K#60でもIBFにならなかった。ということは、再根管治療を行なっても勝てる要因は少ないということになる。
ということで予定を変更し、穿孔部分を封鎖することにした。
BC puttyで穿孔部を封鎖した。
本来の根管にBC puttyが入らないように穿孔部を封鎖した。
ということで窩洞内を洗浄してファイバーポストを用いて支台築造した。
この時、再三確認したが歯牙破折はなかった。
ここで1回目の治療が終了した。
次回がApicoectomyである。
その模様はまたお届けしよう。