バイト先での治療。
患者は50代男性。
右上7, 右下7の両方に問題があるという。
歯内療法学的検査を行なった。
#31:Cold(N/A), Perc.(+), Palp.(-), Bite(+), Perio pocket(WNL), Mobility(WNL)
#2:Cold(N/A), Perc.(+), Palp.(-), Bite(+), Perio pocket(WNL), Mobility(WNL)
歯内療法学的病名は以下のようになる。
#31: Pulp Dx Previously Treated, Periapical Dx Symptomatic apical periodontitis
#2: Pulp Dx Previously Treated, Periapical Dx Symptomatic apical periodontitis
PA, CBCTを撮影した。
ここからわかることは、右下7は容易に抜歯できるということである。
なぜか?
周囲に歯槽骨がないからだ。
それに反して上顎の7番はどうだろうか?
周囲が歯槽骨に囲まれている。
ということは、脱臼させないと抜歯はできない。
さて以上から私が患者に対して選んだ治療は以下のようになる。
Recommended Tx
#2 Intentional Replantation
#31 Intentional Replantation
上下同時に同日に、Intentional Replantationを行うというものであった。
患者さんは治療計画に同意し、治療が行われた。
まず下顎の7番から抜歯した。
しかしこれは容易である。
破折などは見つからなかった。
歯根端切除してBC Puttyで逆根管充填した。
さて問題が上顎である。
なんせ歯槽骨の欠損がほとんどない。
つまり脱臼しないと抜歯ができない。
ということで、様々な方法で脱臼させて歯牙を抜歯し、歯根端切除、逆根管形成、逆根管充填した。
PAを撮影した。
問題ないと判断し抜歯窩へ戻した。
さて私の知り合いの先生が面白いことを言われた。
Intentional Replantationとは検歯(死)的医療である、と。
意図的再植すれば歯の全てを見ることができる。
いわば検死である。
CTを含むあらゆる検査よりも感度、特異度が高いだろうということだ。
しかし、検死と違うところは意図的再植は2ヶ月で歯は元どおりになるというところだ。
この観点は検死にはないだろう。
さて治療終了時に私は気がついたことがある。
それはこの治療は下顎からでなく上顎からやるべきであった、と。
なぜか?
上顎を戻した後にワッテを咬合していただいたのだが、噛んだ時に下顎が痛いと言われてしまった。
また一つ新しい事実に気がついたのであった。