本日は同業者への歯科治療の模様をお伝えする。

主訴は

右上臼歯の治療をしてほしい

であった。

さて実は、2016年、私がアメリカから帰国した際にこの先生の歯科医院で左上の臼歯の治療している。

あそこも失活していたが…どうなっているだろうか?

まず先に6年予後をお送りする。

#14 RCT後 6年経過(2022.11.28)

MB1

MB1の根尖部は90°近くフックしている。

これは非常に扱いが難しい。

この時代からHyFlex EDMを知っていれば…私はトライしただろうがそれがないのでWL=Apex-1mmで解剖学的構造を壊さないように保守的に治療していた。

そしてこの時…問題は見られないと思われる。

MB2

MB2もMB1同様、問題がないと思われる。

根尖部で合流するとは…非常に難しい根管形態である。

これを術前に知るためにも、CBCTは歯内療法には必須と言える。

DB

DBも上顎洞へ近接するためにWL=Apex-1mmで形成していた。

ここも問題はないだろう。

次がP根である。

P

P根にも根尖病変はない。

ということで6年経過したが問題はなかった。

といことで右上の状況を確認した。

初診時 #2 CBCT(2022.11.28)

MB(O)

MBというよりは#3のMB, DBに大きな病変が見える。

そっちの治療は?と聞いたらこれはド縁下カリエスなので抜歯してインプラントをしてもらうという返事であった。

なので#3に関しては目を瞑ってください。

MB(B)

#2の近心根は上顎洞に穿通しかけているが、病変があるためシーラーが過剰に上顎洞へ漏れることはないと思われる。

MB(M)

2根管であることが予想される(MB2がある)が、恐らくVertucciのType2である。


次にDB根。

DB

DBはかなり口蓋寄りである。しかも3根管独立している。

そしてDBは根管がかなり大きい。はっきり見える根管である。

歯髄が壊死?しているので上顎洞に問題が出ている。

が、膿瘍?(もしくは嚢胞??)が根尖部に存在するのでシーラーが上顎洞へと漏れることはないだろう。

最後がP根である。

P

口蓋根は長く根尖病変もある。シーラーがパフしても上顎洞へ迷入することはないだろう。

以上より何がわかるか?といえば、

”Initial RCTが全て”

であるということだ。

では何に気をつければいいのか?といえば

①可及的に無菌的な状態で根管治療する

②手用ファイル、Ni-Ti Rotary Fileなどは新品を使用し、1回で使い捨てにする

③根管充填前はGutta Percha Pointを消毒する

ということである。

そして…PAを撮影し忘れてしまった。。。

そしてこれも本当はダメだが、この後に歯内療法学的検査を行なった。

歯内療法学的検査(2022.11.28)

#2 Cold NR/20, Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#3 Cold NR/20, Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#4 Cold+3/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

ペリオの問題はなかった。

エンドの問題だけである。

診断は以下になる。

#2

Pulp Dx: Pulp Necrosis

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: RCT

ということで左上も右上と同じように根管治療になった。


☆以下、治療動画が出てきます。不快に感じる方はSkipしてください。


#2 RCT(2022.11.28)

MB1とMB2は合流していた。

以下の動画がその証左である。

作業長等は以下になる。

ポイント試適した。

ポイント試適(2022.11.28)

Single Pointで根充するので問題はないと判断した。

BC sealerで根管充填した。

最後にPAを撮影した。

ということで治療は1回法で終了した。

次回は1年後である。

また予後をお伝えしよう。