紹介患者さんの治療。
主訴は
右下犬歯の痛み
夜間に疼くという。
患歯を指し示すことができるか?と聞くと右下犬歯(#27)を指し示した。
歯内療法学的検査(2022.12.15)
#26 Cold+3/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
#27 Cold++1/24, Perc.(+), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
検査で主訴を再現できている。
これは歯内療法で問題を解決できる可能性が高い。
PA(2022.12.15)
歯髄にほぼ近接する修復治療はGPの大好物だ。
が、歯内療法専門医はそうした治療を行わない。
予後が読めないからだ。
デンタルで根尖病変を確認して定期的にcheckするのだろうか?
生切すればCold testに反応するAδ繊維は消失する。
それでどうやって治癒しているか否か?を判断するのだろうか?
そして、同時に石灰化も起きてしまう。
そうするとこの歯はApicoectomyかIntentional Replantationが決定となるがそういうことは患者さんは知っているのだろうか?と言えば、やはり知らなかった。
そして極め付けはかなり長い根である。
どこにReference Pointを取るか?で治療が難しくなる。
ちなみにCBCTはこのケースでは撮影していない。
病変もないし、術前にCBCTで何もcheckすることがないからだ。
このような場合では私はCBCTは撮影しない。
ということで診断は以下になる。
歯内療法学的診断(2022.12.15)
#27
Pulp Dx: Symptomatic irreversible pulpitis
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: RCT
治療がRCTになることは皆さん異論がないだろう。
根尖病変はないので術後にシーラーパフはないはずだ。
☆この後、臨床的動画が出てきます。気分を害する方は試聴をSkipしてください。
#27 RCT①(2022.12.15)Chamber open, SX, WL determination
治療内容は以下になる。
#40.04まで形成して#35.04のGutta Perchaを試適した。
こんなに曲がった根管でよくコントロールが効きますね?と言われるが、大したことはない。
なぜか?と言えば、
HyFlex EDMが異常に柔軟性が高いから
である。
私はこれ以上に柔軟性が高く、切削効果が高いファイルをいまだに知らない。
これから別にそうした新しいものが出れば私はそちらへ乗り換えるだろうが、今はどこにもない。
しかし言えることは、
柔軟性が高いファイルで根管治療すればこうした湾曲根管でも問題なく対応できる
ということである。
攻略法など何もない。ただ道具を使用すればいいだけだ。
ポイント試適PA(2022.12.5)
問題ない位置にGutta Perchaがあると思われる。
BC sealerを用いて根管充填した。
支台築造はしていない。
水酸化カルシウムを置いてCavitonで仮封した。
築造はかかりつけ医で行い予定であるからだ。
#27 RCT②(2022.12.15)Single Point Obturation
PAは以下になる。
次回は1年後の経過観察で問題がないと思われる。
その際に、また皆さんにご報告します。