週末の土日(1/7,1/8)はまつうら歯科医院でマイクロエンドマンツーマンコースが行われた。
受講者は某地方都市の歯科医師の先生で二代目の先生である。
九州歯科大学出身の先生で昨年行ったセミナーを聴講してくれていたという。
日米のIntentional Replantationに対する捉え方の違い〜九州歯科大学 PGセミナー2022 “Modern? Endodontic Technique”
さて、話が逸れたがこの日の講義は上下の大臼歯の根管治療のポイントを全て解説した。
この日の講義は以下の項目に関して順序立てて講義した。
1. コロナルフレア形成
2. 作業長測定
3. グライドパスを行う場合とその際使用する道具
4. 根管形成
5. 根管充填
どの項目もこのブログで、かつて/今も扱っている話である。
過去記事を検索してご覧ください。
ということで彼の治療は以下のようであった。
1. 下顎右下第1大臼歯
最大のポイントはMLとMBが合流する可能性が約40%あることである。
つまり私の感覚ならこれはほとんど合流する、という意味である。
この受講生に合流の仕方をCheckする方法を教えてそれを実践してもらった。
☆以下、実習動画/画像が出てきます。試聴に不快感を感じる方はSkipしてください。
MLとMBは以下の位置で合流していた。
MLは作業長が19.0mmであった。
MBは何mmだろうか?
根管形成してポイント試適した。
全く問題がない綺麗な形成だ。
が、これは試適である。
根充になると問題が出ることが多々ある(が、それが問題ではない)のであるが…
根管充填した。
合流もきちんと再現できている。
合格点以上の形成だ。
2. 左上第1大臼歯
MB1, MB2は独立しているように見えたが、根尖部で合流している。
80%が合流するという過去の偉人のStudyの結果はここでも発揮されている。
根管充填した。
素晴らしい。
ツッコミポイントはほとんどない。
ここで2日目の午前中が終了したので昼休憩をし、午後からは時間を定めてテストを行った。
3. 左下下顎第1大臼歯
MLとMBは根尖付近で合流している。
根管充填した。
文句のつけようのない綺麗な根管充填だ。
最後が右上第1大臼歯である。
4. 右上第1大臼歯
ここもMB1とMB2は根尖部付近で合流しているように見えるがこれも独立型であった。
根管充填した。
ここも独立をよく再現できている。
この時点でこの受講者の卓越ぶりに驚愕した私は、先生何年目ですか?と実習の最後に聞いた。
すると…
2年目です
という返事であった。
はっ???
この先生はまだ2年目なのか??
驚愕した。
私が今まで診てきた(指導してきた)先生の中では最年少の経験年数になる。
2年目…私の2年目は某地方都市の某会の会長の歯科医院で働いていたがInlay形成もsetもさせてもらえなかったし、お前は無能だからと最終的に解雇された思い出しかない。
しかも最後に症例相談、人生相談もしたが彼はすでにApicoectomyも行っていた。
残念ながらそれは拙いものであった。
が、彼が正しい知識を身につければ、彼が勤務している(正確には父親が開業している)この地方都市で、歯内療法の問題で悩んでいる患者さんは救われるだろう。
私は彼に期待している。
そしてこれは帰り際の話で判明したことだが、この先生も留学を希望していた。
現状、留学事情は日本人にとってあまりいい状況ではない。
昨年も一昨年も私が母校に推薦した先生は恐らく、Dr.Rogesの眼鏡に敵わなかったようである。
しかし、彼はまだまだ若い。
まず自分の歯科医院を築き上げて自信をつけてそれからの渡米でも遅くないし、もしくはその熱い思いを振り絞って米国にチャレンジしてもいいと思う。
その時は、私には力はたいしてないけれども、彼を手伝いたいと思っている。
忘れられない出逢いになった。
これから彼はClinical Endodontic literature review, マイクロサージェリーマンツーマンコース, Basic Course, Advanced Courseにも参加するという。
新しいスターが誕生しそうな予感がした。
先生、頑張って夢を叶えてください。
私は応援しています。