患者は30代女性。
前の歯科医院に通っていた女性の患者さんである。
2年ぶりに経過観察を行った。
主訴は ”左上の歯の違和感が続いている。1年くらい前からだが違和感がなくなる時もあるが…”というものであった。
歯内療法学的検査は以下のようになった。
#14 Cold NR/20, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
#15 Cold NR/20, Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
PAを撮影した。
歯内療法学的診断は以下のようになる。
Pulp Dx:Previously initiated therapy
Periapical Dx:Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Re-RCT
根管は石灰化が強く穿通できるかどうかはやってみないとわからない。
患者さんが治療計画に同意したため治療となった。(2018.8.22)
MB1 閉鎖 MAF=#40.04
MB2 RIL=15.0mm, Reference point M, IBF C+#6, MAF=#50.03
DB 閉鎖 MAF=#40.04
P 閉鎖 MAF=#40.04
BC sealerとGutta Percha Pointで根管充填した。
それから最大3ヶ月経過観察した。(2019.2)
というところで私が倒れてしまったのでここで経過観察は途切れてしまったのである。
そこから患者さんに連絡し、経過観察ができることになった。
あの穿通しなかった#15の根尖病変は治癒しただろうか?
症状は全くなかった。
が、根尖病変的な透過像は依然として見ることができる。
しかし、症状がないので治癒の分類でいけばHealingである。
治っている最中とでも言おうか。
これがどれくらい待てばいいのか?という話は以前した通りである。
またAAEには別の考え方もある。
2005年の9月に出されたAAE COMMUNIQUEによれば以下のような記述がある。
これを和訳するとこのような表になる。
根尖病変はあるが無症状で機能的であるのでこの歯はHealingである。
患者さんには治癒するまでには時間がかかるという話をして長期にわたる経過観察を行うことに同意していただいた。
患者さんへのメッセージとしては、我々はあてずっぽうにリコールを決してしてはいない、ということである。
そこには何らかの目的があってリコールが行われるのだ。
もしあなたが今、自分が通う歯科医院に何のために通院しているのか?わからないのであれば、迷わず歯科医師に聞いてみよう。
その時納得できる答えが返ってこなければ、あなたはもうその歯科医院に行く必要はないだろう。
歯がなくても100以上生きた人がいるのだ。もっと気楽に?考えてもいいのかもしれない。