今日述べる処置は私の不作為?である。
私は2020.10に#29のIntentional Replantationを行った患者の予後を追っていた。
治療前の患者の状況・・・主訴:右側(#29)で咬合できない。噛むと痛い。
#29の歯内療法学的検査:Perc.(+), Palp.(-), BT(++), Pocket probe(WNL), Mobility(WNL)。
Pulp Dx: Previously treated, Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
CBCTはアップできないが、下歯槽神経が#29に近接しているためIntentional Replantationを行うことになった。
もし治療がうまくいけば2〜3ヶ月程度で痛みは消失するはずである。
PAを示そう。ラクスエーターで脱臼させて抜歯した私はIntentional Replantationを行った。
治療前 2020.8
治療後 2020.9
意図的再植後のPA
さてこの時私はきっちりと3mm切断し、逆根管形成、逆根管充填を行い、歯牙を抜歯窩へ再植した。(Intentional Replantation)。
それからの経過は以下のようになる。
術後1ヶ月後(2020.10)・・・全く痛みが消失→患者は大喜び(PAは撮影していない)
術後2ヶ月後(2020.11)・・・咬合した時に痛みが復活→患者のテンション下がる&再Intentional Replantation?
術後3ヶ月後(2020.12)・・・痛みはやはり変わらず。Intentional Replantationを再度行うことに渋々患者は同意する。
術後4ヶ月後(2021.1)・・・ひどい咬合痛は消失していた。が、患者の希望によりIntentional Replantationを再度行う。治療前にPAを撮影した。
2021.1の治療前に問診すると以前のような痛みは無くなったが、やはり咬合すると痛みを感じるという。
悩んだがPAを撮影し、再Intentional Replantationを行った。
根尖部の病変?はかなり治癒しているように感じられた。
が、私はこの治療を2度と行いたくないので根をもう少し切断し、逆根管形成をレジンコアまで行うことにした。
De Deus 1975によれば、1つの歯牙に側枝がある割合は以下のようになる。
70%の側枝を消してやるつもりで、歯根をさらに切断しレジンコアの直下までBC puttyで逆根管充填した。
前回はPro Root MTAで逆根充していたようだ。今回はBC Puttyに変更してみた。(理由は特にない)
抜歯窩へ戻した。
これで治ってくれればいいがその結果がわかるのは最低でも2ヶ月後だ。
しかもこの患者さんは実はすでに遠方に引っ越されていた…
したがって次回は2ヶ月後にこの部分がどうなったのか?を皆さんにもご報告したい。
治っていればいいが…天にも祈る気持ちである。