紹介患者さんの治療。

主訴は

左上の歯の鈍痛

であった。

歯内療法学的検査(2023.2.6)

#11 Cold+3/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)

#12 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(++), BT(+), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)

#13 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(+), BT(+), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)

検査で主訴が再現できている。

適切な治療を行えば主訴が解決する可能性が高い。

PA(2023.2.6)

#12には太いメタルポストコアが、#13にはピンが入っている。

が、除去は容易である。

VP-tipがあれば、だ。

CBCT(2023.2.6)

#12,13のApexには根尖病変がある。

#12

CEJよりApexまで13mmあるが、歯根は頬側に露出している。

Flapを開けると歯根が見えるパターンのApicoectomyだ。つまり簡単である。

次にApexから3mmで切断した場合、どう見えるか?であるが以下のようになるはずだ。

頬舌径は5.6mmある。

多少多めに切っても解剖学的に危険な要素はないだろう。

が、MとPがそこそこ離れているのでRetroprepには時間がかかりそうだ。

ということが読める。

次が#13である。

アーチファクトが激しくてよくわからない。

が、CEJよりも13mm先にApexはある。

Flapの範囲をいつもよりも大きく開けた方がいいかもしれない。

3mmで切断すると以下のような形になる。

1根管だがGutta Perchaが遠心にズレている?かもしれない。

これは注意する必要があるだろう。

歯内療法学的診断(2023.2.6)

#12,13

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: Core build up w/wo fiber post→Apicoectomy

ということでまず支台築造を行い、その後にApicoectomyを行う計画を立てた。

治療へ移行した。


☆これ以降、臨床的な動画が出てきます。気分を害する方は視聴をお控えください。


#12,13 Core build up w/wo Fiber post(2023.3.7)

#12は歯質があるのでラバーダム防湿ができる。

メタルポストコアを除去し、ラバーダム防湿を行い支台築造を行った。

歯質を最大限温存させるためにEndoguide burを使用しているのは隠れた工夫だ。

以下のサイトで販売している。

https://shika-mall.com/endoguide-bur

EG1A, EG3, EG4が使用に耐えれるものである。いわゆるタービンに付けれるものだ。

エンジンに使用するものは私は使用していない。

使う意味合いがよくわからないからだ。

ご存知の方がいれば教えていただきたい。

が、問題が#13である。

歯質がなく隔壁を作成したが…

ラバーダムをかけると隔壁が飛んでしまった。圧排糸も入れて努力したのだが…あえなく時間の無駄になってしまった。

ということでこの歯は防湿ができない。

が、エピネフリンを使用しているので止血効果が期待できないのでこの日は仮封して終了になった。

ということでPAを撮影している。

PA(2023.3.7)

#12は歯質があり、ラバーダムがかかったのでCore build upできたが#13は無理であった。

この時点で方法は2つある。

①先にクラウンレングスニングをしてもらって歯質を確保してからCore build upを行う

②外科時に無理やり歯牙にラバーダムをかけてレジンで築造する

あなたはどっちを選ぶだろうか?

かかりつけ医と相談し、私は②を選択した。

ここで重要なのはこの治療の内容を決めるのはかかりつけ医であるという事実である。

下請けが、“私がわかりますから!”としゃしゃり出てはいけない。

必ずお伺いを立ててから次の処置へ移行する必要がある。

ということでこのまま別日にApicoectomyへ移行した。

なぜ別日なのか?理由を知りたい方は以下へ飛んでください。

Advanced Course 2022 第1回〜Apicoectomy


☆これ以降、外科動画が出てきます。気分を害する方は視聴をお控えください。


#12,13 Apicoectomy(2023.3.14)

#10の近心に縦切開を入れてFlapをスタートさせている。

#12の歯根はやはり露出していた。

容易にApexが見つかるだろう。

Apicoectomyを行い、Retroprepを行った。

逆根管形成後に逆根管充填した。

Lid techniqueになって止血の扱いがかなり楽になった。

MTA時代は完全な止血がマストであったが、今はタイミングを狙えばその必要がなくなっている。

次が#13である。

CBCTを見て確認しながらApicoectomyしている。

やはり歯槽骨で囲まれていたようだ。

が、この絵を見てピンと来ないだろうか?

私には#13の歯根が透けて見えている。

Apexの位置はここだろうという場所を削ると歯根が顔を出したので根切した。

この後、#13の歯根にラバーダムをかけて支台築造を行った。

ここでPAを撮影し、逆根管充填の状態を確認した。

#12,13 Apicoectomy後 PA(2023.3.14)

#12は正方線だと穿孔しているように見えるが、偏近心だときちんと逆根充されているように見える。

#13にも問題はないだろう。

ということで縫合してこの日の治療は終了した。


術後、10日後に抜糸した。

患者さんの仕事の都合で、ここしか来れなかったので、この日になったのだ。

私が意図して指定したわけではない。

#12,13 抜糸(2023.3.24)

粘膜を縫合するとこの動画にあるように時間が経過すると抜糸しにくくなる。

そうなれば、

根管バキュームで吸いながら抜糸できるポイントを探すことが必要

になる。

やや面倒くさくなるが、社会人は皆忙しいのである。

自分の都合でこの日に来い!とは言えない。

ちなみに抜糸で麻酔はもちろんしていない。


ということで、次回は1年後である。

プロビジョナルレストレーションを装着していただき経過を見ていくことになる。

皆さんには、1年後に予後をご報告したい。