このGW期間中はブログの更新はしない。
その代わりに、GW期間だけ限定して特別に歯内療法の話を公開する。
GWが終わるとこの記事は消去する。
それゆえに、
”期間限定記事”
である。
興味のある方だけが読んでみてください。
ちなみにこの話は通常はセミナーでするネタであるが、このブログで公開する。
歯内療法には
“テーパー”
という言葉がある。
これは一体なんだろうか?
以下の記事でも十分すぎるくらい説明済みだが今日はもっと掘り下げていこう。
世間の注目は
そのファイルの柔軟性がどれくらいか?
とか、
耐久性はどれくらいか?(何回使用できるか?)
とか、
価格はどれくらいか?
などに注目が置かれていることが多い。
が、それ以上に重要なのがテーパーである。
K Fileを例にあげて説明しよう。
K FileのテーパーはISO規格では.02(と書いて0.02と読ませる)である。
これはK fileの先端から1mmづつ増えると0.02づつ増えることを意味している。
つまり、#10のK fileであればその先端は#10=0.10である。
ここから1mm増えると0.02づつ増えることがわかる。
刃は16mmまである。
下の図のそれぞれに数字が入力できるだろうか?
C+ fileはそれが少し変わっている。
ということは、以下のようなセクションに数字を入れるとどうなるだろうか?
この数字を入力できない人は歯内療法ができるようにはならないだろう。
もっと基本から学習したほうがいい。
参考になる本は多々あるだろうから、それらを読んでいただきたい。
さて。
このようにK Fileには.02しかテーパーがない。
にもかかわらず、先人は偉大な?方法を発明している。
それが
Stepback technique
である。
Mullaney 1979 Instrumentation of finely curved canals
SS Hand Fileの性質を活かした形成方法であり、私は長崎大学時代にその方法を教わった。
が、今から述べるようなことは全くその当時は教えられていなかった。
その当時はなぜか、
#25までしか根尖部は拡大しない(つまりMAFは#25)
と教育されていたのである。
その当時、その理由を私に指導してくれる人はいなかった。
その理由を知るのはUSCのLiterature Reviewの授業でだった。
Eldeeb 1985 The effect of different files on the preparation shape of severely curved canals
ここで述べられていることがその理由である。
で、だ。
MAFが#25でその後、1mm刻みに#30,#35,#40と番手を上げて形成していく。
その上部はGates Drillを使用し拡大していく。
Gates Glidden no2,3,4を使用して段階的にテーパー形成をするのである。
これがPhase Ⅱ-Aである。
そして再び、K File #25を使用して以上の形成の際にできた段差をなめらかにしてStepなどを修正していく。これがPhaseⅡ-Bである。
さて、この方法のメインエベントは
それが何?
と言うことである。
だから何なんだよ!と言うこの方法で得られる不思議な現象が形成が完了すると起こる。
0.02 TaperのK Fileを使用して以下のようにPrepするとその時、テーパーはいくつになるだろうか?
その理由は小学生の算数で習う方法でわかる。
人生で初めて、”算数”が役に立った!と感じた瞬間だ。
それ以外の局面で算数が役に立った!と思ったことが私にはない。
そうそれこそがこの方法が採用されていた真の理由であったのだ。
テーパーが.02しかないK Fileを使用してこのような方法を考えた先人は天才だ
と私は思った。
が、同時にこの方法は
手先が器用な人間のみができる方法
とも言える。
私のような手先が不器用人間にはできない方法だ。
が、それを変えてくれた人がいた。
Walia 1988 An initial investigation of the bending and torsional properties of Nitinol root canal files
USC時代に、Dr. Rotsteinが
何度読んでも何が言いたいか全くわからない
と述べていた論文だ。
私は早い段階で眠りに落ちていた、
この論文の最大の貢献は
ニッケルチタンファイルを誕生させた
それのみである。
そうすると非常にいいことがある。
あなたは今まで、Stepbackで形成せざるを得なかった。
が、今あなたの目の前に#25.06のNi-Ti Fileがあるとする。
これをWL-1mmまで使用して形成するとどうなるだろうか?
そう。WLまでNi-Ti Filを入れると瞬時にその長さまで、
#25.06
で形成されるのである。
あなたが知るべきことは、
いかにNi-Ti Rotary Fileを使用して根管形成するか?のみで済む
のである。
こんな便利なものが出たら、K Fileを使用したStepbackはもはや
竹槍で米軍を駆逐しようとしていた旧日本軍
でしかないのである。
時代は便利な方へ、簡便な方へ流れるのである。
竹槍で米軍を倒せなかったことは1945年が証明しているでしょう。
そう。
そうした
簡便なものへ流れる世の流れは止められない
のだ。
誰かがそれはいけない!と言っても
便利なほうが必ず勝つ
のである。
そしてNi-Tiは最初は恐ろしいほど硬かったが、今やさまざまな柔軟性が高いファイルが市場を席巻している。
その際たるものが、HyFlex EDMであろう。
なぜ私がそれを愛用するのか?
それはそのFileが異常なほど柔軟性が高いからか?
と言えば、答えは
NOである。
その答えを知りたい方はこのブログを熟読するか、Basic Courseにでるしかないだろう。
このテーマだけで講演会ができる話である。
それを今日はブログに記載してみた。
この記事は5/3~5/7までの限定公開にします。
(が、もしもこの記事が好評?なら残します。)
それまで熟読?してください。
そしてそれでも意味が???な人は私のセミナーに出てください。
と言うことで今日はここで筆を置くとしよう。