週末の日曜日はBasic Course 2023 第1回が行われた。

第1回目のテーマは

オリエンテーション、

無菌的処置の重要性、

歯内療法の成功率と治療の流れ、

難治化した場合の原因とその対処と予防法、

診査・診断、

そして最後に相互実習(Cold Test, Percussion test, BT test, Palpation test, Pocket Probe, Mobility check)

であったが、最初にこのコースの趣旨を説明した。

いわゆるゴールである。

歯内療法の切り札は外科であるが、その前の処置ができないと仕方がない。

特に再治療である。

それを知るにはどう言うケースが適応症か?知ることが重要である。

ということで、今年から講義の進め方を大幅に変更した。

スライドの内容は今までと基本は同じだが、伝えるべき知識をきちんと伝えたいのでスライドを飛び飛びで講義した。

必要な知識に蓋をできないのでこれは仕方がない。

まずお互い自己紹介してセミナーは始まった。


講義のスタートは、無菌的な処置がなぜ重要なのか?についてCaseを元にお話しした。

この症例のように、ラバーダムをせずに治療して根管形成されるとそこに唾液が流れ込む。

するとその状況から改善ができなくなる。

つまり、

症例が難治化してしまう

のである。

つまり、

通常の方法では解決しなくなる

のである。

通常の方法とは何か?といえば、

根管治療をして、

それでも治癒しなければ再根管治療をして、

それでも治癒しなければ外科的歯内療法(ApicoectomyまたはIntentional Replantation)を行う

ことであるが、これがなかなか難しい。

症例を挙げて説明した。

その症例の内容が以下である。

世の中のニーズを満たせる歯科医療とは?〜#3 Intentional Replantationから5年経過+CBCTでの検証

ただ、ルールを守ればそのようなことは

ほとんど起きない(ゼロではないが)

と思われる。

それが証拠にこの患者はIntentional Replantationを3根に行って初めて症状が消失した。

こう言う話をすると、また歯内療法専門医がラバーダムとか言って…と相手にしない人もいるだろう。

が、ラバーダムをしない人間がなぜUSCから破門されるのか?考えてみればわかる。

俺はラバーダムせずに治療したが困ったことはない、というのはあなたが気づいていないだけかもしれない。

それが証拠にほとんどの受講者は予後を長く追っていないからである。

Toronto StudyじゃないのだからRecall Rateはあげた方がいい。(この高尚な?ギャグが分かりますか?)

が、それは治療費の向上には繋がらないが、あなたの歯科医院評判にはつながるだろう。

あなたが他の人とは違う自分になるには、他の人がやらないことを実践しなければならないのだ。

面倒くさいからやらないではどうしようもないのである。


次に、歯内療法の各種治療の成功率・生存率と治療の流れについて説明した。

抜髄根管治療の成功率はどれくらいだっただろうか?

それが壊死した歯髄や根管の根管治療ならどうだろうか?

根尖病変が大きいと抜歯だろうか?

また再治療は予後に大きな差が出る治療であるが決め手は何だっただろうか?

これが分からなければ、治療の見通しが立てられない。

そんな歯科医院に誰がいくのだろうか?

誰もいきません。

患者は自分の問題が解決できる歯科医院に行きます。

治らない歯科医院などいくだけ無駄だから誰も行きません。

予防や歯周病のケアに誰が通いますか?

患者は歯が痛いから歯科医院に行くのです。

患者は馬鹿ではありません。

こうした現実を直視しましょう。

これらの治療で問題が解決できなければ、外科治療になります。

外科治療ができなければ歯内療法では見通しが立てられない治療になります。

では外科治療で必要な道具は何だったでしょうか?

答えが明確に出ますか?

またIntentional Replantationはアメリカではほとんど行われない治療ですが、それがなぜだか説明できますか?

しかし、ここはラバーダムをしないことに言い訳を見つける国、日本です。

保険ではできない、と言う言い訳は患者に関係のない話です。

自分でケツを拭ける人間になりますか?それとも誰かに拭いてもらいますか?それとも抜歯へ誘いますか?

下記のような症例はこれからも後を立たないでしょう。

臨床家自身が原因がわかり、それを解決するには外科治療は避けては通れない道である

ということがわかったでしょう。

いきなり1回目でAdvanced Courseの押し売りをされるとは…と言う感じかもしれませんが、これが日本の現状だから仕方がないのです。

真実に蓋はできません。

外科的歯内療法を制する者が歯内療法を制する(特に九州は)

のが現状です。

これはよく覚えておきましょう。


ここで昼休憩となり、午後から診査・診断の話を行った。

この話は毎回進め方を悩む話ではあるが、ようやく今日、光が差したと言うか私はこの方法で今後はやっていこう!と追う話し方を見つけた。

まずその前に最低限のルールを。

まず、AAEの診断名は必ず覚えなければならない。

以下の資料はGoogleでFreeで手に入る。

必ず病名を覚えましょう。

ここがスタートラインです。

これすら覚えられない人に未来はありません。

これを覚えて一つ一つ解説しながら講義を進めていくのが1番の方法だと言うことに今日私は気がついた。これは大きな発見でした。

まずNormal Pulp Tissue, Reversible Pulpitis, Symptomatic Irreversible Pulpitis, Pulp Necrosisについて話をした。

それぞれが何を表しているか?はCooley 1978の文献で理解ができただろうか?

何を持って、Lingering Painというのかあなたは理解できただろうか?

彼ら二人の意見は合致していただろうか?

そして、Asymptomatic irreversible pulpitisという病名の意味があなたにはわかっただろうか?

Irreversible PulpitisなのにAsymptomaticって何?と疑問を持ったあなたはそれが臨床的にどういう特徴があったか?で理解できただろうか?

この上記の英文の意味があなたはわかるだろうか?

分からない人は、以下の論文を読むと意味がわかるでしょう。

深い虫歯がある時のそれぞれの歯科医師の行動の違いは何に基づいていただろうか?

よく復習をしましょう。

と言うことで1日はあっという間に終了した。

診査・診断の重要性がわかっただろうか?

それと同時に重要なことは、対患者マネージメントだろう。

今日の検査を何も言わずにいきなりやられれば患者は困惑し、講義の声があなたに直接届くでしょう。

が、誠実にやれば問題は言われません。

なぜなら、

我々は患者さんの病気を治すために存在するのであり、病気を作るために存在していないからだ。

そう言う志を持った歯科医師であってほしいと思います。

ということで1回目が終了した。

次回は、

5/21(日) 米国歯科大学院における根管形成方法、作業長の決定方法、拡大号数(MAF)の決定方法、グライドパス、メカニカルグライドパス、上下前歯、小臼歯の解剖学的特徴、上下大臼歯の解剖学的特徴、根管充填方法(Single Point ObturationとGutta Percha Pointの選択方法、消毒方法)、根充時に気泡が入ることは問題なのか?(Hollow tube theoryについて)

等を行っていく。

それまで少々お待ちください。

Endo Testの相互実習は時間がある時に行いましょう。

1日お疲れ様でした。