紹介患者さんの治療。
主訴は
歯性上顎洞炎の治療希望
である。
歯内療法学的検査(2023.5.15)
#12 Cold+2/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#13 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)
主訴は痛みではないので検査で再現はできない。
が、
Sinus tractがある。
これは、再根管治療では治癒しない可能性を提示している可能性が高い。
PA(2023.5.15)
左上の大臼歯部は抜歯されている。
患歯の#13は既に太く根管形成されており、太く根管充填されている。
が、アンダー気味である。
また、太いメタルコアが装着されている。
しかし、この太いメタルポストコアは…
嫌な感じだ。
また、前医は2根管であるとして治療している。
上顎第2小臼歯は何根管が多かっただろうか?
Vertucci 1974 Root canal morphology of the human maxillary second premolar
学習が足りないとしか言いようがない。
CBCT(2023.5.15)
#15は既に抜歯されている。
Restorabilityがなかったからだ。
#13も歯性上顎洞炎に寄与している可能性が極めて高い。
断層像は以下である。
Apicoectomyするなら、CEJよりも10.0~11.0mmの位置にApexはある。
そこから歯槽骨を深さ2.6mm削合するとApexに到達する。
この際、上顎洞に穿孔しないように注意することが必要だ。
Apexから3mmの位置で切断すると、以下のようになる。
頬舌的に5.6mm(リンデマンバーの半分の約長さ)の削合が必要である。
その際、既に形成・根充されたB, P根は接近していることがわかる。
歯槽骨を間違いなく削合しさえすればこの外科治療に失敗はないだろう。
単根なので非常に簡単である。
歯内療法学的診断(2023.5.15)
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Chronic apical abscess
Recommended Tx: Core build up with Fiber post→Apicoectomy
推奨される治療はまずは Core build upである。
そして、Apicoectomyへ別日に移行する。
ということでこの日に支台築造に移行した。
☆この後、支台築造動画が出てきます。不快に感じる方は視聴をSkipしてください。
#13 Core build up with Fiber Post(2023.5.15)
除冠してメタルポストコアを除去した。
以下の動画が全てである。
何て親切な歯科医師何だろう!もうこれに関するセミナーはいらないだろう(笑)
ラバーダムを装着して支台築造を行った。
PAを撮影した。
ということで別日にApicoectomyを行う。
その模様は次回ご紹介しよう。