紹介患者さんの治療。
主訴は、
左上の奥歯の咬合痛
であった。
歯内療法学的検査(2023.5.24)
#13 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#14 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#15 Cold+3/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#13,14に咬合痛があった。
PA(2023.5.24)
#14の根尖部には病変が見受けられる。
CBCT(2023.5.24)
#14
MB1
MB1は根管形成も根管充填も全くできていない。
このことからもわかるように、保険診療で歯内療法を行うことはできないのである。
費用対効果が悪いからだ。
そこには、歯の疾患を解決しようと言う気構えがないのである。
これでは…日本は良くならないだろう。
MB2
MB2はその80%がMB1と合流していることが多い根管である。(Vertucci 1984. Root canal anatomy of the human permanent teeth)
CBCTからも合流が予測できる。
が、実際に歯牙を見てみないとわからない。
DB
DBにも病変はあるが、Apex付近は根管形成できていない印象を与える。
このことから、ここの根管は切断よりも再クリーンだろう。
P
Pにも病変がある。
上顎洞を突き破っている。
このまま行くと、上顎洞炎になりかねない。
しかしここも、根尖部の形成は甘いと言わざるを得ない。
以上から考察するに、これは外科でなくて再根管治療が優先されるだろう。
それでも治癒しなければ…Apicoectomyだ。
#13
#13の根尖部にも病変がある。
歯内療法学的診断(2023.5.24)
#13,14
Pulp Dx:Previously treated
Periapical Dx:Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Re-RCT
と言うことで#13,14ともに再根管治療へと移行した。
#14から、この日に治療へ移行した。
☆この後、臨床動画が出てきます。気分を害する方は視聴をSkipしてください。
#14 Re-RCT(2023.5.24)
近心壁以外は歯質が残存している。
私は、歯内療法科の大学院を卒業しているので支台築造に関して特別知識を授けられていない。
それは紹介元の仕事だからだ。
下の画像を見ていただくと、近心壁以外の3壁は残存している。
つまり、機能咬頭(P)の歯質=Ferruleが残存しているのでこの場合はCrown Lengthningは不要であると言う論文はUSC時代に読んだことはあるが、それが正しいことなのか?私にはわからない。
そう言う話をかかりつけ医にして、CL(Crown Lengthning)するのかしないのか?はかかりつけ医が決定していく。
ということで、ラバーダムをかけて再根管治療を行った。
上顎6の最大の懸案?はMB1, MB2だろう。
が、MB2は80%の可能性でMB1と合流することがわかっているのである。(Verucci 1984
Root canal anatomy of the human permanent teeth)
“どうせ、合流するんだろう”と言う気持ちでいつもいる。
そして、MB1を形成してからMB2を見つけに行った方がいいだろう。
なぜか?と言えば、合流することが多いからだ。
Am FileでMB1とMB2は合流した。
作業内容は以下である。
BC Sealerを用いて根管充填した。
近心のレジンを除去して支台築造し、PAを撮影した。
MB,DB,Pからシーラーがパフしている。
治療に問題はないと思われる。
次回は1年後に経過を追う予定である。
また皆さんにご報告したい。