週末日曜日は、まつうら歯科医院 歯内療法専門室でBasic Course 2023 第4回 マイクロエンド実習が行われた。

この日のテーマは、前歯・小臼歯・(時間があれば、大臼歯)の根管治療である。

実習前に、それぞれの解剖学的特徴をCaseを基に説明した。


<上顎前歯>


<上顎側切歯>

#7,10には解剖学的な特徴がある。

それが以下の4項目だ。

この意味でも、#7,10はApicoectomyの代表的なケースになりやすいという話をした。

このような絵を見ると、

Vertical Root Fracture

を疑うことが多いだろうが、そうなっているかどうか?は歯牙を直接見ないとわからないし、側切歯の場合のは多くはその解剖学的特徴に由来した、根尖病変から来たものであることが多い、という話をした。


<上顎犬歯>


<下顎前歯>

上記論文に掲載されている写真(下顎の前歯は2根管性も40%あるということを訴える写真)は下手な根管治療である。

“下手な”の意味がわかるだろうか?


<上顎小臼歯>


<下顎小臼歯>


<上顎大臼歯>

MB1,MB2の解剖学的特徴は何だっただろうか?


<下顎大臼歯>

ML, MBどっちがより直線的で、どっちに合流をさせた方がよかっただろうか?


以上のような、解剖の話を12:00まで行い午後から実習へ移行した。

以下がよくある失敗とケースである。

<よくある失敗>

この2つのケースは根充したGutta Percha Pointの先端がグニャッと曲がっている。

まるで豚のしっぽのようにだ。

これをGutta Percha Pointが”Kink”しているという。

Kinkという言葉の意味は辞書で探せばわかるが、絵で書くとこうだ。

なぜこのようなことが起きるのか?といえば、

自分が設定した作業長にGutta Percha Pointが入っていかなかったので、グッと押し込めたためにGutta Percha Pointの先端が曲がった

からだ。

USCで多くのResidentが注意されたやつである。

なぜこのようなことが起きるか?であるが、

やはりReference Pointの設定が甘いと言わざるをえない。

本当にそのReference Pointにラバーストップがタッチしたのか?直視で確認しただろうか?

確認ができていなければこのようになってしまう。

そして入っていかなければ、

Gutta Percha Pointのテーパーを下げるか、サイズを下げなければならない。もしくは同サイズの別のGutta Percha Pointを使用するか?である。

物には必ず誤差がある。

それを受け入れるだけの度量が必要だ。

つまり、

このことから何が言えるか?だが、

時間的制約のある中での根管治療は無理

ということがわかるだろう。

そして自分がどれくらいの時間でマネージメントできるか?把握できなければ、臨床で歯内療法を、しかも自費で行うことは100%無理、ということがわかる。

その際のコツが、以下である。

自己鍛錬無くして、歯内療法は成り立たないのである。

研鑽しましょう。


<ケース>

スカスカな根管充填(特に頬側と口蓋側の間)に見えるが、臨床的にこのような絵はありえない。

いつもの写真で撮ると以下だ。

問題がないことがわかるだろう。

が、逆にいえば、事実はこうなっているということである。

それが問題か?といえば、Hollow tube theoryは否定されているので問題はない。

Torneck 1966 Reaction of rat connective tissue to polyethylene tube implants. I

Torneck 1967 Reaction of rat connective tissue to polyethylene tube implants. II

をよく読もう。

MLのMBが合流していて、さらにMMもMLに合流していた。

これは凄まじくBeautifulなケースであるが、あるある話として、

試適まではうまくいくが根充がうまく行かないというオチがある。

根充した。

惜しい!

またこれは、次回にやり直しましょう。

その他も、

MLにMBが合流

MB1,MB2が合流せずに独立(20%しかないパターン)

など多くのレアな解剖学的形態の根管充填のケースが見受けられました。

とても勉強になったと思います。

そしてもう少しこうすれば!というのもあったでしょう。

それが学習につながります。

こんなことは、誰でも学習し、練習すればできるようになります。

それを学びにわざわざ遠方までいく必要はないのです。

(ここ、福岡が遠方か?)

適切に教えてくれる誰かに学べば、必ずうまくなります。

できれば1日、1本、頑張りましょう。

ということであっという間の1日は終了した。

次回も、マイクロエンド実習である。

次回は2023.8.20(日)10:00~17:00で、朝から1日実習です。来た人から実習しましょう。私は7:00頃には会場にいます。早くやりたい人はどうぞ。

続けて頑張りましょう。

1日お疲れ様でした。