週末の土日はマイクロRe-RCTマンツーマンコースが行われた。

受講者は大阪の勤務医の先生。

今回がマイクロエンドマンツーマンコースに次いで2回目の参加になる。

土曜日は1日講義であった。

以下の項目に関して講義していった。

スライドは今回、大幅に変更した。

治療を始めるにはまずその治療がどれだけ勝算があるか?知る必要がある。

そして次がその生存率だ。

その点で、この二つを知ることは治療に入る前に必須の知識と言える。


1. 再根管治療の成功率

Chybowski 2018 Clinical Outcome of Non-Surgical Root Canal Treatment Using a Single-cone Technique with Endosequence Bioceramic Sealer: A Retrospective Analysis

の文献によれば、BC sealerでSingle Pointで根充した論文の成功率を算出している。

それによれば、成功率はInitial RCT, Re-RCTでそれぞれ90.6%, 91.6%だという。

これは日本人の臨床実感から大きくかけ離れたものであろう。

この高い成功率に寄与している因子は何だっただろうか?

もっと平たくいえば、再根管治療の成功率が高い場合はどういう場合だろうか?

そして低い場合はどういう場合だろうか?

また、再根管治療の多くは穿通せずに終わることが多いが、その場合は治癒するだろうか?

どのような場合が治癒に至ることが多いだろうか?

そして一番治癒が期待できないのは根尖部の形態が破壊された場合の再根管治療である。

それが術前のCBCTのみでわかるだろうか?

Caseをだして講義した。

P根は当歯科医院が所有する最も太いファイルでも根管形成ができなかった。

そうした場合はどのように治療したらいいだろうか?

じっくり学習していきましょう。


2. 再根管治療の生存率

次に生存率を提示した。

これは以下の文献が超有名だろう。

そしてどうしてこのように治療に差が出るのか?は以下の文献でその理由が正当化されている。

ということである程度の学習はやはり必要だということが言えるだろう。

しっかり復習しましょう。


昼過ぎから、いよいよ再根管治療のテクニックの話をした。

3. 再根管治療のテクニック

冠除去で悩むことは臨床家はないと思われる。

まずはポストコア除去から説明していった。

②(ポスト)コア除去

メタルポストコアを外すには、

①メタルポストコアのどこを剖出し、

②何をメタルに当てれば良かっただろうか?

よく復習しよう。

次にファイバーポストコア(レジンコア)の除去には何が有効だっただろうか?

2つの器具が必要である。

最後が既製ピンである。

実は既製ピンを除去するのがこの中では一番難しかったりする。

既製ピンが長かったり、スーパーボンドで付けられているような場合は除去が難しくなる。

これがどれくらい除去しにくいか?は実際に次の日の実習で味わってもらおう。


③Gutta Percha除去

Chybowski 2018  Clinical Outcome of Non-Surgical Root Canal Treatment Using a Single-cone Technique with Endosequence Bioceramic Sealer: A Retrospective Analysis

の論文中に、Gutta Perchaの除去はH File, 超音波, クロロホルム, Ni-Ti Rotary Fileで行うと書いてあるが実際の臨床もその通りだろう。

そしてGutta Perchaが完全に除去できるのか?という問いに対する答えは何だっただろうか?

根管治療で重要なことは何か?を再認識しよう。

それが治療の向上へつながります。


④根管再形成

再根管治療で根管の再形成を行う場合、どのようなことに注意する必要があっただろうか?

スライドをよく復習しましょう。


⑤根管充填

再形成したら洗浄して根管充填する。

この際のポイントは何だっただろうか?

ここもスライドをよく復習しましょう。

ということでこの日の講義は終了した。


翌日は実習が行われた。

メタルポストコア除去、

レジンコア除去、

ファイバーポストコア除去、

既製ピン除去、

をしてからのGutta Percha除去、根管再形成、根管洗浄、根管充填を行った。

この先生もそうだが、Gutta PerchaがKinkしている。

作業長までGutta Perchaを入れよう!とするあまりこうしたことが起きる。

もはや、今はシーラー根充だ。

ということは仮にGutta Perchaがアンダーに入っていても問題がないと考えられる。

時代が変わったのだ。

この事実を指摘し、やり直してもらった。

この先生も、試適まではうまくいっている。

MB2はこの症例もMB1に合流していたのだ。

スライド通りの実習模様だ。

きちんと再現させている。

が…

根管充填になるとうまくいかなくなることが得てして多い。

根充してもらった。

何ともいえない感じだ…

が、正方線で撮ると

問題があまりないように見える。

このようにエンドの世界ではこうしたことは多々起きているだろうと思われる。

それを乗り越えるには…

毎日、大臼歯の根管治療を1日1本でもやって練習するしかない。

それなしには技術は向上しないのだ。

ということであっという間に2日間は終了した。

日々練習してうまくなってください。

そして、

保険診療で根管治療や再根管治療を行うことからさよならしましょう。

そして、

外科治療ができるようにならなければ歯内療法が得意な臨床家になったとはいえないのです。

まだまだ頑張りましょう。

先生、私は応援しています!