紹介患者さんの治療。
主訴は
2~3年前から左上奥歯のブリッジの歯に違和感を感じている
であった。
歯内療法学的診査(2023.6.13)
#13 Cold+7/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(FPDの為、不明)
#15 Cold+30/1, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(FPDの為、不明)
違和感(Discomfort)は再現できなかった。
違和感という主訴が一番難しい…
PA(2023.6.13)
#15の根尖部に病変が見える。
失活したのだろう。
ここが主訴部位と思われる。
が、Cold testに反応しているのはどうしたことだろうか?といえば、歯髄は壊死しているがAδ繊維は残存しているから反応するのだろう。
つまり、Partial Pulp Necrosisである。
したがって、これは便宜的にPulp Necrosisと考える方が自然だろう。
CBCT(2023.6.13)
MB1
MB2
MB1とMB2の位置関係は以下である。
MB1より4mm口蓋側にMB2がある。
そことほぼ左右対称的にP根があるイメージだ。
MB1とMB2は
MB2がMB1に合流している。
文献通りの解剖学的形態だ。
長さを計測してみた。
なぜか?といえば、ジルコニアのクラウンが入っているからである。
洗浄液に注意していても、Root ZXがピーピーいう可能性がある。
長さは単純計測で15.5mmであった。
が、MBは大きく湾曲しているので誤差は(長さの変化、しかも作業長の増大)出てくるだろう。
DB
DBの長さも計測してみた。
15mmである。
湾曲はあまりないのでこの長さは正しいかもしれない。
P
長さは約14mmだ。
以上を考慮して実際の治療へ挑む。
歯内療法学的診断(2023.6.13)
Pulp Dx: Pulp Necrosis
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: RCT
ということで根管治療が推奨される治療である。
以下のような絵をユニット近くに添付しておいた。
☆この後、臨床的画像/動画が出てきます。気分を害する方は視聴をSkipしてください。
#15 RCT(2023.8.2)
チャンバーオープン時の形態は以下のようになるはずだ。
このように、根管治療時はCBCTを撮影した咬合面観を左右逆転した像をユニット横に添付することをお勧めする。
作業長は以下になった。
感染根管なので#35以上の拡大が必要なので、HyFlex EDM #40.04まで形成した。
それに対応する根管充填するGutta Percha Pointは#35.04である。
BC sealerを用いてSingle Pointで根管充填する計画である。
MB2は術前の予測通り、合流していることが示唆されるのでMB1を形成し、MB2にファイルを入れて“傷”を確認した。
MB2の作業長は16.0mmである。
が、形成は17.0mm位にしていた方がいいかもしれない。
テクニカルエラーも考慮して、だ。
HyFlex EDM #25.V→#40.04まで形成した。
その後、Patency FileしてSingle Pointで根管充填した。
Patency Fileをやる意味は術後疼痛を抑える為である。
根尖部を破壊するためではないし、#10以下であればほとんど形態は変わらない。
術後にPAを撮影した。
アンダー根充気味に見えるが…
パフがあることは緊密に根充されていることの証左である。
このようにして、PARLがある場合は、シーラーパフが根管充填が適切にできているか?Check材料になることがわかる。
ということで次回は半年後である。
また詳細を皆さんにお伝えしたい。