紹介患者さんの治療。

主訴は

左上奥歯の咬合痛。硬いものを食べると痛い…

であった。

歯内療法学的検査(2023.9.7)

#13 Cold+1/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#14 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#15 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

主訴が再現されている。

適切な治療を行えば、主訴の解決が図れるはずだ。

PA(2023.9.7)

MB根はハンドファイルで治療したがためにテクニカルエラーが出ている。

ここが問題だ。

そして…

#15はすでに根尖が破壊されている。

これでは再根管治療はうまくいかない。

Intentional Replantationの適応症だろう。。。

が、ここで注意がある。

歯牙が残存していれば適応症になるが、歯牙がなければ…抜歯が困難で治療自体ができないと言う話になる。

それは…除冠しなければわからない。

つまり、真実は冠の中に隠されているのだ。

CBCT(2023.9.7)

MB

DB

P

病変はMBの根尖部にある。

レッジができて根管形成できなかったようだ。

が、CBCTからはMBは1根管性である。

歯根の中央に根管があるように見えるからだ。

つまり、このテクニカルエラーを修正することができれば、MBの根尖部の病変も90%の確率で治癒させることができるだろう。

また、DB, Pには病変がないことがわかる。

つまり、

この再根管治療の鍵は、

MBのレッジ修正をできるか?

である。

レッジ修正にもHyFlex EDMは効果を発揮する。

その模様を今日はお伝えしよう。

歯内療法学的診断(2023.9.7)

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: Re-RCT

ということで再根管治療でレッジの修正ができるだろうか?

そこが最大のポイントである。

HyFlex EDMはテクニカルエラーを修正できるだろうか?

同日、治療へ移行した。


⭐︎この後、治療動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。


#14 Re-RCT(2023.9.7)

作業長は以下である。

C+10で尖通してカーブも比較的緩やかな根管であったので、HyFlex EDM 25.Vから形成した。

根管形成でレッジの修正はできるだろうか?

続いて#40.04で形成した。

続けて#60.02でPrepした。

その後、Patency Fileした。

その前に根管にNaOClを入れるのを忘れていないところがポイントだ。

ペーパーポイントで根管を乾燥して、#35.04のGutta PerchaでBC sealerとともにSingle Pointで根管充填した。

その後、支台築造してPAを撮影した。

見事、レッジを解消して根管形成・根管充填に成功した。

ということで再根管治療は終了した。

実はこの日、#15のIntentional Replantationも同時にやる予定であったが、以下のようになってしまった。

脱離したレジンコアの内部は以下のようであった。

これでは…Intentional Replantationはできない。

Intentional Replantationは、歯冠が残存している歯が適応症で、歯冠が残っていない歯は抜歯が難しいので非適応症になってしまう。

私はさらにこのサホライド色の歯質を検知液で染めて染まった部分だけ除去して支台築造した。

レジンの硬化の問題もあるので1日以上置いて、ファイバーポストも複数本設置して支台築造した。

その後に(別日に)、Intentional Replantationは行うことになった。

相撲に例えれば、1勝1敗という感じの1日であったが、Intentional Replantationの模様は次回お伝えしたい。

このような場合にどのように工夫して支台築造するのか?

そしてどのような準備をして抜歯をするのか?に関して次回、語りたいと思う。

それまで少々お待ちください。