バイト先での治療。

患者は30代の女性。

主訴は右下6の神経を取った後から激痛が続いていたというものであった。

したがって私がみたときには根管は開放(J-Open?)されていた。

近心そして遠心は抜髄後すぐさま根管充填されたらしいが痛みが止まらず施術医がOpenにしている。

まずいきなり言っては申し訳ないが私はこの施術医を知っている。その人は知らないと思うけど。

まあどうでもいいが、なぜあんなにいつも患者がいなかったのか?理解ができた気がする。

これから歯科医師になる人、そして今からこの荒波に出ようという先生には伝えたい。

世の中そんなに甘くない。

こうやって患者は消えるのだ。

私からいきなり患者が消えたら私は生きて行けない。

しかし今まで患者が消えたことはその患者が紹介状を持っていさえすればない。

まあそれは置いといてこうした患者の治療はどうすればいいのだろうか。

下顎大臼歯の近心根の特徴はあなたは知っているだろうか??

それは一般的には近心舌側はストレートであるということである。

そして近心頬側は湾曲していることが多い。(もちろんその逆も症例によってはあるだろう)

そしてMBとMLはかなり高い確率で合流していることが多い。(この論文で示されている以上に合流していると私は考える。)

以上を整理すると、

・MLはストレートで根管形成しやすい

・MBはカーブがあり難しいがMLとほぼ合流する

ということがわかる。

MLの作業長を測定しWL=Apex-0.5mmとして#40.04まで根管形成し根管の3/4を#50.03で形成した。

その後MLにGutta Perchaを挿入しC+ FileをMBに挿入してグリグリやるとガッタパーチャにそれがプリントされた。

やはり合流していたのだ。

したがってMBはその位置まで根管形成すれば良い。

これは根管治療をかなり楽にさせると思う。

その後、D根のガッタパーチャを除去し根管形成しポイントを試適した。

するとガッタパーチャがApexの位置に来ていることがわかる。

ということでオーバー根充がこのままでは確定してしまう。

そこで私はワンサイズ大きい#50.04のガッタパーチャを使用して根充した。

そして支台築造を行なった。

さてこのデンタルを提示すると必ず聞かれることがある。

近心、遠心共に少しガッタパーチャの位置がアンダーじゃないのか?ということだ。

それにより隙間が空いている。

私はここに空洞を作り犯してはならない重大なミスを起こしたのであろうか??

そもそもここが空洞ではいけないのか??

答えは前回提示している。

という話は前回行なった。

つまり何の問題があるの?ということになる。

このようなレントゲン的な見栄えを気にする人は、Patency Fileが必要だ。

Patency Fileしても術後疼痛は出ない。むしろ予防してくれることがわかっている。

しかし私はこの症例ではPatency Fileしていない。

するのを忘れていた。。。

そして痛みがあったら電話してくださいと伝えたが反応はない。

ということはおそらく問題は出ていないだろう。

本当はこういう患者さんが多く来てくれれば日本の歯内療法も変わるだろうがまあ来ることもないだろう。

私の仕事は世の中の10%の人にしか理解されないとわかっているからだ。

そして体力的にもそんなに多くの患者を1日に診ることもできない。

でも歯科医師として生きていける。

これをどうすれば多くの人に伝えることができるだろうか?といつも考えていたがもう諦めた。

やりたい人は学びに来ればいいし、そうでない人はどうぞあなたの方法を編み出してくださいとしか言いようがない。

大丈夫、患者の命には関わり合いはないのだから。