私の最近の好きなファイルはColtenから販売されているHyFlex EDMである。

なぜ私はこのファイルが好きなのか?

それは実に術式が理にかなっているからである。

まず私は根管治療で穿通させるときはDentsplyのC+ Fileを用いる。なぜこれを使用するのか?といえばC+ Fileは穿通用のファイルでありグリグリやってもファイルがへたることが少ない。

からHyFlex EDMを使用しているわけではないのだ。

C+ Fileは先端から4mmはテーパーが4°である。

何が言いたいかといえば、1mm上に上がると+0.04mm増加する。

サイズは#6,8,10,15とあるが私は#10→#8→#6のように使用する。

#10,8で穿通したらHyFlexの#10.05は使用しない。使用する必要性がないからだ。

しかしそのような根管はほとんど存在しないだろう。

大概はC+の#6で穿通する場合が多い。

さてそれだからなぜHyFlex EDMを使用するのか?ここからはエンドの勉強をしたことある人以外はわからないだろうから読み飛ばすことを勧める。

C+ファイルは、テーパーが先端から4mmまでが.04で増えていく。

ということは一番小さなC+ Fileは#6なので穿通してそこから1mm上は#10となる。つまりいきなり#10.05のNi-Ti Fileが使用できるわけだ。

上の図ではOriffice Openerは#25.012になっているがこれは使用しなくてもいい。ただセットで買うとついてくるのでもったいなければこれを使用してもいいが先がでかいのであまり使用には耐えないだろう。

まず露髄したらSX(プロテーパーのもの。Goldでもいいが曲がって使用しにくいかもしれない。ちなみにプロテーパーのSXはe-bayにある)で拡大形成する。

その後、C+ Fileで穿通させる。ここでいきなりC+の#8, #10で穿通すればもはやHyFlex EDMの#10.05を使用する必要がない。作業長(Apex-1mm)の位置でそれぞれ#12,#14だからだ。が、#6でなければ穿通しないのであれば残念ながらHyFlexの#10.05を使用する必要がある。

作業長(Apex-1mm)が#10になるからだ。

であとは拡大したいサイズまで形成する。私は#20.05→#25.V→#40.04まで形成する。で、その後#50.03または#60.02で作業長の3/4を形成する。すると、通常は#40のガッタパーチャが作業長まで綺麗に入ることが多いが入らないことも勿論ある。

それはなぜか?はCurrent Literatureにきちんと書いてある。

ファイルのサイズは#60までは±0.02mmの誤差があるという。(8)

#50で形成してもそれは#48かもしれないのだ。

またガッタパーチャポイントにも0.05mm~0.07mmの誤差があるという。(12)

#40のガッタパーチャポイントを使用してもそれは#33~#35もしくは#45~#47かもしれない。

何だこの出鱈目な引用は!と引用論文を探ると・・・

何と両方とも引用先はJADAである。

アメリカの歯科の物品の決まりごとは全てアメリカ歯科医師会(ADA)が決定する。

それに逆らえるものはいない。アメリカでの絶対的権力組織だ。

そこがお墨付きを与えている。

例えばこのレントゲンの症例では作業長の3/4を#50.03まで形成したものの#40.04のガッタパーチャが作業長まで入らない。で、仕方がないので#35.04を用いたら作業長まで入ったのでシングルポイントで根管充填した。

ここまでかかった時間は不慣れなアシスタントをつけても1時間未満だ。

頭で理解していれば根管治療はすぐに終わるのだ。

これを読んでも何のことか理解できなければそんなあなたは根管治療をすべきではないだろう。

すぐに近所に歯内療法専門医がいるのかどうか?検索するべきだ。

さてここからは私の愚痴になる。

昨年から大学で教えているが今の研修医は恐ろしく何も知らない。

テーパーという言葉の意味も知らない。Ni-Tiファイルも大学にはない。

なのに根管治療をしている。

全く無意味だ。

治療は遊びじゃないので今すぐできる人に紹介すべきだろう。

と言っても別に命に関わり合いはないので死ぬことはないけど。

ということで今日も架空の国Japanでは多くの神経が取られ、多くの出鱈目な根管治療が行われているのだ。