以前の治療の経過観察。
バイト先で#14のRCTをしていた。
主訴は、
治療した歯がすごく染みる。今はなんともないがその際は凄まじく痛かった…あの痛みはもう2度と味わいたくない…。。。
である。
歯内療法学的検査(2023.11.28)
#14 Cold NR/20, Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#15 Cold+3/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#14はCold testに反応しない。
また咬合痛と打診痛がある。
ここが患歯だろう。
CBCT(2023.11.28)
MB
Direct Pulp Cappingが失敗しているのがわかる。
というよりも…
生活歯髄療法は、成人の歯にはできない
という事実を知らない臨床家がやったのだろう。
それでは(その知識では)、歯髄は残せない。
何度もいうが、
生活歯髄療法は子供の幼若永久歯にやる治療で成人に行う治療ではない
からだ。
MB2はありそうだが、根管上部で合流しているような印象を与える。
が、根尖病変は見当たらない。
それを考えても、クレージーにMB2はどこだ!と追求する必要性はないだろう。
DB
DBには病変はない。
P
Pにも病変はない。
が、DB, PはApical Foramenが上顎洞底粘膜に接しているような印象を与える絵である。
シーラーパフには注意すべきであろう。
歯内療法学的診断(2023.11.28)
Pulp Dx: Pulp Necrosis
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: RCT
ということで、推奨される治療は根管治療であり、治療回数は1回である。
おそらく、あっという間に終わるだろう。
☆この後、治療画像が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#14 RCT(2023.11.28)
チャンバーオープンすると、そこには謎の処置がなされていた。
???
謎の材料で根管口が封鎖されている。
レントゲン造影性もない。
まさに…
これは、Previously initiated therapyだ。
いわゆる、騙し というやつだ。
SXでP根をコロナルフレア形成すると…
容易に形成できた。
BC sealerでSingle Pointで根充し、治療後にPA, CBCTを撮影した。
MB
MBにはパフが見られた。
いい根管治療の証左である。
DB
DBはシーラーがパフして上顎洞に漏れたような印象を与えるが…
それはこの歯を、この方の上顎を解剖しなければわからない。
が、いい根管治療であるという事実はわかる。
これが治癒に影響するだろうか?
それは時間経過を見ないとわからない。
P
Pもパフがあり、問題ないだろう。
ということで、ここから半年が経過した。
治療した歯はどうなっただろうか?
#14 RCT 6M recall(2024.5.28)
歯内療法学的検査を行うと、すべての術前症状が消失していた。
すこぶる調子がいい!と言われた。
PA, CBCTは以下である。
MB
MB根尖部の歯槽骨は回復している。
DB
DBはよく治癒している。
シーラーパフが治癒に影響を及ぼしていないということがわかるだろうか?
P
上顎洞底粘膜の肥厚が縮小している。
P根上部歯槽骨が再生されている。
これは、歯周治療にはないことだ。
にということで、すべての根を治療前後で比較した。
初診時・治療直後(2023.11.28)vs 6M(2024.5.28)
問題が解決していることがわかる。
いや、MBは怪しいだろ!というあなた。
ダメならどうするのだろうか?
再根管治療ですか?
いえ。
Apicoectomyです。
Apicoectomyができない臨床家は歯内療法を制することはできないのである。
ということで、最終補綴を依頼した。
次回はさらに半年後の2024.11である。
またその模様をお伝えしたい。