紹介患者さんの治療。

主訴は、

右下奥歯でものを噛むと痛い

であった。

歯内療法学的検査(2024.3.15)

#27 Cold+3/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#28 Cold+3/4, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#29 Cold NR/20, Perc.(+), Palp.(+), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#30 Cold+4/4, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#29に臨床症状がある。

PA(2024.3.15)

#29はほぼ、Direct Pulp Cappingのような治療がなされている。

これは成人では通用しない治療であることは何度も述べている通りだ。

#27にも歯髄に迫るような?充填がなされている。

が、ここはCold testで正常反応だ。

これは、Asymptomatic irreversible pulpitisとは言えない。

こう言うところが臨床判断の分水嶺になる。

CBCT(2024.3.15)

Direct Pulp Cappingが失敗して根尖病変ができている。

この歯が治療の対象の歯だ。

ちなみに、前述した#27にも同じ感じの処置がなされている歯があるが、

ここは根尖病変はないので治療の対象にはならない。

しかも、臨床検査でこの歯は、#27 Cold+3/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)である。

根管治療する理由がない。

わかるだろうか?この違いが。片方は、圧痛、打診痛、咬合痛があるので治療となったが、もう一方は、何もないので治療にならないのである。1本の歯でも治療の方針や方法は変わるのである。深い充填がなされているからと言って、なんでも、Asymptomatic Irreversible Pulpitisではないのだ。

症状がない限りは経過を追うだけだ。

歯内療法学的診断(2024.3.15)

Pulp Dx: Pulp Necrosis

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: RCT

ということで、同日根管治療へ移行した。


⭐︎この後、治療動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。


#29 RCT(2024.3.15)

RIL=21.5mm, Reference Point: L, IBF: K#10, MAF: #40.04で#35.04のGutta PerchaとBC sealerで根管充填した。補綴治療になることを考えて、歯槽骨よりも深く根管充填しFiber Postを用いてレジンで築造した。

PA, CBCTを撮影した。

問題はないと思われる。

次回は半年後である。

また詳細をご報告したい。