紹介患者さんの治療。
主訴は、
前歯の裏の歯茎が痛い…
であった。
他院で、根管治療をトライして、そのまま開放になっているという。
治療には複数回かかると言われたそうだ。
前歯で複数回?よく意味がわからない。
USCであれば、Facultyから詰問されかねない案件だ。
以前にも似たようなことがあったことを思い出す。
歯内療法学的検査(2025.3.4)
#9 Cold+2/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#10 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(+,P側のみ), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
PA(2025.3.4)
CBCT(2025.3.4)
P側の歯槽骨が溶解している。
これが、Palpation(+, Pのみ)の原因だ。
以上より、
Previously initiated therapyの根管治療ということになり、Gutta Percha Pointはないものの、事実上の再根管治療ということになる。
歯内療法学的診断(2025.3.4)
Pulp Dx: Previously initiated therapy
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: RCT
ということで、同日治療は行われた。
☆この後、治療動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#10 RCT(2025.3.4)
ラバーダムをかけて虫歯を除去しようとしたら…
クランプが外れてしまった。
おそらく、ここが飛んだのだろう。
これはひとえに、前歯部用のクランプの把持力が強いことによる。
これだから私は、前歯部用のクランプが嫌いである。
電気メスで歯肉を切除し、隔壁形成を行うことになった。
これでクランプを掛け直すが、前歯部用を使用するとまた隔壁用の
レジンごと飛ぶ可能性があるので、私は小臼歯用のクランプを使用した。
これで治療を開始した。
が、動画の通り
MAFは
拡大号数はHyFlex EDM #60.02でのみ
テーパーはProTaper Gold F5でのみ
しか、再根管形成できなかったのである。
これで治癒するかどうか?は神のみぞ知る話だ。
理由は以下である。
十分に形成しても治癒しないことがある。
十二分に形成できなくても治癒することもある。
それは、
患者の免疫力と患者が有する細菌の毒性のバランスで決定されるのだ。
これを理解できないと方々でトラブルになるだろう。
ということで、根管充填して支台築造し、PA,CBCTを撮影した。
問題はないと思われる。
次回は1年後である。
また詳細をお伝えしたい。