紹介患者さんの治療。

主訴は、

今年の3月に根管治療を開始したが治療が終わらない…

である。

3月ということはもう時間が7ヶ月経過していることになる。

長い。。。

まずは検査を行った。

歯内療法学的検査(2023.10.25)

#2 Cold+2/1, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#3 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#3には打診痛がある。

ここが患歯だろう。

PA, CBCTを撮影した。

PA(2023.10.25)

CBCT(2023.10.25)

MB

DB

P

まず…

ことしの3月から根管治療してこの状態なのはなぜだろうか?

私は驚きを禁じ得ない。

全く何もしていないのである。

これでは…

患者さんがかわいそうだ。

そして、MB,DBには若干病変があるが、Pにはない。

が、MB,DBの根尖部周囲にはシーラーパフでどうこうなるような解剖学的要素もない。

ということまで把握して診断は以下である。

歯内療法学的診断(2023.10.25)

Pulp Dx: Previously initiated therapy

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: RCT

ということで推奨される治療は根管治療一択だ。

同日、治療へ移行した。


☆この後、臨床動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。


#3 RCT(2023.10.25)

術前にCBCTで見えていた白い根管充填剤?は…

ZOEセメント

であった。

小児の根充材料としてかつて使用されていたものである。

これを除去しなければならない…

面倒だ。。。

ヒポクロを満たして、超音波で除去していった。

この後、作業長を測ると以下のようになった。

#60.02で形成して#35.04?

先から飛び出たらどうするんだ!と叱られることがある?かもしれない。

そういう人には、以下の画像をお見せしましょう。

Ni-Ti FileとGutta Percha Pointの先端である。

それぞれどういう形状だろうか?

<Ni-Ti File>

<Gutta Percha Point>

漫画で書けば、

こう形成したところに、

こうGutta Percha Pointが入るわけである。

このように根管充填されるので、オーバーエクステンジョンになることはない。

そして、結果的に根尖を破壊するような形成をしたとしても、術後疼痛が多少出るぐらいで、最終的にはMTAシーラーで根充することになる。

みんな大好き?MTA根充だ。

もう時代は変わったのである。

ということで、根充後にPAを撮影した。

根充後にCBCTも撮影した。

治療に問題はないことがわかる。

次回は半年後である。

またそこでどうなったか?を報告したい。