紹介患者さんの治療。

主訴は

ある日突然、前歯が激しく痛くなった…治療を依頼されたので来院しました。

である。

紹介状に築造不要とあったので、根充後は水酸化カルシウムをGutta Perchaの上に置いて仮封しなければならない。

こっちの方が楽だ。

ということで、まずは検査を行った。

歯内療法学的検査(2023.11.17)

#7  Cold+2/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#8  Cold+2/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#9  Cold NR/20, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#10  Cold NR/20, Perc.(-), Palp.(+), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#9,10はCold testに反応しない。

#10にはPalpationに対しての反応がみられる。

患歯は#9,10だろう。

PAを撮影した。

PA(2023.11.17)

歯髄にほぼ達する充填物がみられる。

これでは…歯髄は失活する。

それが嫌なら、Indirect Pulp Cappingをすべきだ、と言う話は今年の7月に東京でした気がするが、世の中は相変わらず平常運転だ。

これだから…私の仕事は永遠に無くならない。

CBCT(2023.11.17)

#9

#9は根尖部の閉鎖がないように見える。

患者さんに話を聞くと、小さい時(小学高校学年時)にCR充填をしたそうだ。

それが原因か?はわからないが、CTを見る限りは、

Apical Stopがつけれるか?疑問だ。

根管形成がうまくできなかもしれない。

ということは…Apicoectomyに移行する可能性も考慮すべきだろう。

反対側同名歯は、#9と比べるとだいぶ長い。

小学生の時にこけて前歯を打ったことがあるという。

その後、虫歯治療で歯髄深くまで修復がなされている。

その後、失活したのだろうか?

それは、私には分かりかねるが、治療の予後はGoodとは言えない可能性がある。

Guardedの可能性がある。

が、どうなるか?は治療しなければわからない。

#10

検査で、

#10のみPalpation(+)になったのは、

根尖病変により頬側の皮質骨が吸収されて口腔内と交通している

ことを示すものである。

この絵がそれを証明している。

が、#9との違いは根尖部が閉鎖しているように見えることだ。

歯内療法学的診断(2023.11.17)

#9

Pulp Dx: Pulp Necrosis

Periapical Dx: Asymptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: RCT

#10

Pulp Dx: Pulp Necrosis

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: RCT

ということでこの日、2本同時に治療となった。

さて。

なぜ私は今日、このような簡単な症例を紹介しようと思ったのか?といえば、以下のような質問があったからだ。

作業長が25mmで形成ができなかった…という。

HyFlex EDMには長いもの(25mm以上)はない

のである。

さて、どうやって根管形成すればいいのか?

今日はそれも解説したい。


⭐︎この後、治療動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。


#9,10 RCT(2023.11.17 )

作業長を測定後、HyFlex EDM#25を入れるが…容易に作業長までタッチする。

これでは、形成の意味がない。

番手を#40.04に上げた。

これも意味がない。

番手をさらに上げた。

#60.02だ。

これも…形成の意味がなかった。

さあ、あなたならここで何をするだろうか?

と言えば、もうテーパーを上げて形成するしかない。

ここで、ProTaper Gold F5を久々に使用した。

この作業長までの

“わずかな形成だけ”

で感染を制御できるだろうか?

その答えが出るのは半年後だ。

最後に根充したが、Gutta Perchaは#60.06を使用した。

#50.04, #60.04が作業長よりも深く入ったからだ。

#60.06を使用すると適切な位置まで挿入できたのでこれで根管充填している。

MTA根充が好きでたまらない!人はこうすれば節約できるのに、といつも思うのだが。

築造は依頼されていなかったので、動画のように水酸化カルシウムをGutta Perchaの上に置いて、キャビトンで仮封している。

次に#10を治療した。

#9との違いがわかっただろうか?

#10は#25も#40も#60も形成ができている。

これだと、治癒する可能性が高いだろう。

作業内容は以下になった。

#10も根充前の試適の段階で、#35.04→#50.04→#40.04に変更している。

Single Point根充はMTAシーラーで根充するのでアンダー気味に根管充填した方がいいだろう。

この以下の動画の作業が、Single Point根充のキモと言える。

その最適なサイズがこの症例では#40.04であった。

根充後に、#9,10のPA, CBCTを撮影した。

#9

#10

ということで次回は半年後の2024.5である。

この歯の治療がどうなったか?またご報告したい。