バイト先での治療。
主訴は
左上奥歯の痛み。硬いものが食べられない。。。
であった。
歯内療法学的検査(2023.9.26)
#14 Cold NR/20, Perc.(-), Palp.(-), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#15 Cold+2/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
検査時は最盛期は過ぎていたそうだが、主訴は再現できていた。
問題は#14であると考えられる。
PA, CBCTを撮影した。
PA(2023.9.26)
近心にDirect Pulp Cappingしたような形跡がある。
これをやられると…
根管が石灰化してしまう。
そして、
外国人のように歯が長い(口蓋根のApexはPAから切れている)
という特徴のある歯だ。
インジケーター使用時は、咬合ピースを外して撮影するように注意する必要がある。
また、詳細をCBCTで精査した。
CBCT(2023.9.26)
O
MB1とMB2は近接しているように見える。
根管上部で合流しそうだ。
MB
MBの根尖部には病変的な影が見える。
また、この治療者はMBが露髄してDirect Pulp Cappingしている。
しかし、成人においてはその成功率は著しく低いことは今まで何度も述べたとおりだ。
やはり、MB1とMB2は根管上部で合流しているように見える。
しかし、実際は、治療してみないとわからない。
DB
DBは特別問題はないだろう。
P
PのApical Foramenは上顎洞に食い込んでいる。
ここは慎重な対応が求められるだろう。
歯内療法学的診断(2023.9.26)
Pulp Dx: Pulp Necrosis
Periapical Dx: Asymptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: RCT
ということで、別日に根管治療へ移行した。
歯が長いという特徴のある歯牙である。
☆この後、治療動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#14 RCT(2023.11.28)
チャンバーオープンすると、なぞの物質が根管に詰められている。
ユージノールセメントだ。
何のためか?は私にはわからない。
が、それが邪魔で根管上部の拡大ができない。
そういう時は、
AM File #25で形成するか
鋭い短針で突けば、
SX, その後のC+ Fileでの作業がしやすくなる。
詳細は動画を確認してほしい。
それぞれの根管を#25.V→#40.04まで拡大形成し、#35.04のGutta Percha PointとBC sealerで根管充填した。
術前のCBCTからMB2は根管上部でMB1と合流していた。
術後にPAを撮影した。
CBCTも撮影した。
O
MB
2ヶ月前よりも病気が進んでいるのがわかる。なので、MB, DBからはパフが見られる。
DB
P
問題はないと思われる。
また、この病変がこの2ヶ月でやや大きくなっていったようだが、その事と歯内療法の予後には相関関係はない。
ということで、次回は半年後である。
その際の状況をまたご報告したい。