新年、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
今年も、患者さんや歯科医師の先生の
“歯を保存するための、ためになる情報”
を提供していきます。
よろしくお願いします。
ということで、新年1発目は昨年に行った根管治療の模様をお伝えします。
紹介患者さんの治療。
主訴は、
根管治療が必要なのでお願いしたい
であった。
患者さんは中学1年生だ。
歯内療法学的検査(2023.10.11)
⭐︎この後、検査動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#29 Cold+1/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#30 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(+), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)
#31 Cold+2/1, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
主訴が再現できている。適切な治療をすれば主訴は改善できる可能性が高い。
が、#30にはSinus tractがある。
この低年齢で外科は避けたいいが…が、これは私が決めれることではないので如何ともし難いところだ。。。
PA, CBCTを撮影した。
PA(2023.10.11)
CBCT(2023.10.11)
MB
ML
MB,MLは別々に分かれている根管だ。
合流はしていない。
D
Dは1根管だろう。
そして、近心根、遠心根、分岐部に病変がある。
歯周病だ!という所見は年齢的にも、検査的にも見当たらなかった。
歯内療法由来の分岐部病変だろう。
こういうのを、分岐部病変というのだろうか?
私にはわからない。
そして近心根・遠心根の根尖部の頬側の歯槽骨からの距離を見てほしい。
近心根はまだしも、遠心根はApicoectomyになると頬側から絶望的な位置にApexがある。
これでは…外科治療はほぼできないだろう。
故に、非外科的根管治療をうまく行う必要がある。
しかしそれは…実際に根管形成しないとわからない。
歯内療法学的診断(2023.10.11)
Pulp Dx: Previously initiated therapy
Periapical Dx: Chronic apical abscess
Recommended Tx: RCT
ということで推奨される治療は非外科的歯内療法である。
歯髄病名が病名だけに既に行われている治療自体に問題があるかもしれないが、やってみなければわからない。
この日は開放状態であった歯牙の内部を洗浄し、水酸化カルシウムを髄床底に置き仮封し、別日に治療へ移行した。
⭐︎この後、治療動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#30 Temporary Filling(2023.10.11)
仮封がしてある!と思いきや、食渣であった…
が、窩洞の中は綺麗だ。
水酸化カルシウムを髄床底において、キャビトンで仮封した。
治療は後日となった。
#30 RCT(2023.11.29)
仮封が取れたか…と思いきや、きちんと窩底に残っていた。
このようにキャビトンは時間が経過すると外れてしまうことがあるが大概残存している。
仮封を除去し、窩洞内のう蝕を除去した。
もちろん…濃く染まった部分だけだが、う蝕を全て取るのは不可能だ。
全て取れる!という人がいるならその人が全ての患者を治療すればいいだろう。
無理なことはできないのだ。
ここまで来て、根管治療ができるようになった。
SXで根管口を拡大する。
その後、作業長を測定し、それぞれの根管を当該サイズまで拡大した。
作業内容は以下である。
その後、Patency Fileして根管をPaper Pointで乾燥し、BC sealerとともにSingle Pointで根管充填した。
その後、レジンで築造し、治療は終了した。
PA, CBCTを撮影した。
3根管からそれぞれシーラーのパフが見える。
緊密な根管充填の証左だ。
CBCTも撮影した。
MB
ML
D
問題はないと思われる。
次回は半年後である。
また経過を皆さんにお伝えしたい。