以前の歯科医院の患者さんのリコール。
気がつけば…既に8年が経過していた。
この方の治療は#2,#29の治療を2016年に行っていた。
そう、あの曰く付きの場所、長住でだ。
ああまさに黒歴史…
お前、最初長住で開業してただろ、あんなところには誰も紹介しないから!
とその後、歯周病の船越先生にご指導?されたのを昨日のことのように思い出す。
ちなみにその際に来た紹介状には以下のように記載されていた。
患者さんは、#2のう蝕処置希望で来院。
元々クラウンで補綴してあったが、内部で虫歯が進行していた。
う蝕が歯髄まで到達していたので、抜髄。
抜髄時に口蓋根に内部吸収(?)を根尖部まで確認。
軟化象牙質をマイクロエキス化等で除去するもルーペでは限界あり。
また歯質の強度や分割困難な点からも抜歯の可能性を説明したところ、当歯科医院(長住の歯科医院)の受診を希望したため紹介にに至りました。
よろしくお願いいたします。
当時の治療内容を振り返ろう。
#2 初診時歯内療法学的検査(2023.12.8)
#2 Cold NR/20, Perc.(++), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#3 Cold+2/1, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#2には強い打診痛があった。
そこが患歯だろう。
口腔内写真は以下だ。
この歯の内部に何かがあるのだろう。
PAを撮影した。(当時は某社のPAを使用していた。)
内部に虫歯がある
ように見えないが、何があるのだろうか?
この時は、CBCTを撮影していない。
歯内療法学的診断(2016.12.8)
Pulp Dx: Previously initiated therapy
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: RCT
ということで、何が起こっているか?わからない可能性が高い根管治療へ移行した。
この当時は動画を撮影していなかったため、全て写真である。
まず仮封を外すと、以下のような状況になった。
口蓋根から排膿が見られた。
抜髄根管治療をしているのに、だ。
排膿を根管バキュームで吸い、そこにあるものを見た時に私は頭が一瞬、
???
になった。
なぜなら、
そこには、
残根があったから
だ。
なぜこんなところに残根が?。。。
と考えているうちに、私は閃いた。
ああ、そういうことか!と。
どういうことか?といえば、この部分は石灰化していたのだ。
なので、前医は根管を探そうとしたのだ。
が、見つからずに穴を開けて終わってしまっている。
こういう状況になったのだ。
↓
今思えば、
ああ、この時からCBCTを導入しておけば…と思わずにはいられない。
であれば、事前に予測できていたのだ。
かえすがえすも後悔だ。
さておき、この穿孔部からはとめどなく出血してきた。
となれば…
治療介入ができない。
ということで一時的に根管に綿球を入れて止血を図った。
P根は諦めて、MB,DBの探索を行った。
MB根は容易に見つかったが、DB根管口がない。
ヒポクロを入れて泡が出る部分をマイクロスコープを使用して探索した。
SXでコロナルフレア形成をしていないので、DBでファイルが破折してしまっている。
口蓋根は石灰化しているのでバーで切削し、穿孔している。
MBはマイクロスコープがなかったのと、解剖学的知識がなかったために発見できていないのだろう。
ということで、
口蓋根の石灰化を抜髄時の口蓋根の内部吸収と勘違いしたことが現状を生んででいると思われる。
MB, DBの根管形成をし、P根はMTAセメントで根充した。
1回法で終了している。
その後、補綴専門医に補綴治療をしてもらっている。
#2 RCT 1yr recall (2017.10.6)
いかなる臨床症状もない。
ここからさらに1年が経過した。
#2 RCT 2yr recall(2018.10.26)
この際も臨床症状はなかった。
この次のRecallが、2019.10のはずであったが、私は脳出血で倒れて経過が追えなくなった。
が、連絡をすると久々に経過を見せていただけることになった。
それがこの日である。
実に治療から、7年が経過していた。
#2 RCT 8yr recall(2023.11.22)
多数歯を当時、治療・検査していたので、この日もその検査を行った。
#2に臨床症状はない。
打診痛は消失したのだ。
ということで主訴は改善していた。
PA, CBCTも撮影した。
PA(2023.11.22)
2018年の時と変化がない。
経過観察で問題がないのだ。
CTもこの日に撮影した。
CBCT(2023.11.22)
MB
DB
P
Pの根尖部に病変はない。
なぜか?
といえば、
抜髄症例で石灰化していた根管で根尖病変がなかったからだ。
穿孔の修復は甘いのかもしれない。
が、病気がないこと、症状がないことが現状を表している。
ということで、経過観察は幕を閉じた。
しかし、返す返すも、もしエンドだけで開業しようと思うのなら、CBCTは必須のアイテムと言える。
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