紹介患者さんの治療。

主訴は、

左側で物を噛むと痛い。食事ができない…

であった。

歯内療法学的検査(2024.1.16)

#18 Cold+2/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#19 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#20 Cold+3/1, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

仮封がしてある治療途中の#19に主訴が再現された。

適切な治療で問題は解決される可能性が高い。

あとは形成されているか?されていないか?だ。


⭐︎この後、検査動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。


PA(2024.1.16)

CBCT(2024.1.16)

MB

ML

D

Dも根管形成不足である。

以上より、外科治療ではなく根管治療が妥当であると思われる。

もちろん、それに意味があればだ。

どういう状態が意味がある状態か、あなたはわかるだろうか?

今日はもう一度、それをご紹介しよう。

歯内療法学的診断(2024.1.16)

Pulp Dx: Previously initiated therapy

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: RCT

ということで、同日に根管治療へ移行した。


⭐︎この後、臨床動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。


#19 RCT(2024.1.16)

DはC+ File #10→#8→#6と挿入したが、穿通しなかった。

しかし、根尖病変がある。

ここで私はHyFlex EDM #10.05を650rpm, 最低トルクで回転させ穿通させた。

この行為を臨床的になんというか私は知らないが、

メカニカルグライドパス

とでもいうのだろうか。

このブログや私の勉強会ではそう呼んでいる。

すると…穿通した。

Dは直線根管なので、

#25.V→#40.04と拡大した。

次がMLである。

MLは直線根管であるので、Dと同様に形成した。

最後がMBだ。

ここはMLに合流することが多い。

Checkをしたが、合流しなかった。

別々に独立しているのではないか?と考え、穿通させようと試みたが、

C+ #10→#8→#6でも穿通しなかった。

ということで、穿通しなかったのでメカニカルに穿通させようとした。

HyFlex EDM #10.05でも穿通しなかった。

そこで、新品のRaCe EVO #10.04を使用し穿通を試みたが…

ファイルが破折した。

以下である。

折れた時にあなたはどうするだろうか?

除去を試みるだろうか?

私は…除去するくらいなら、切ったほうが早いと考える

と言う冗談はさておき、ここはどう考えるべきだろうか?

CBCTに戻ろう。

メインはMLだ。

MBはそこに合流している。

ということは、すでに根尖部は形成されている。

そこに合流させようとした根管が穿通しなかった。

で、開けようとした。

が、ファイルが折れた。

としても、それがどれほど予後に影響するだろうか?

それは誰にもわからない。

が、たとえ外科治療になったとしてもそれが難しいだろうか?

全く難しくない。

Easyな外科治療だ。

ということで、ファイルを何とか除去しよう!という追求はしない。

ここからもわかるように、

歯内療法は外科治療ができないと完結できない

ことがわかるだろう。

その意味では、Advanced Courseの重要性がわかるだろう。

ということで作業内容は以下になる。

根管充填後にPA, CBCTを撮影した。

Post RCT PA(2024.1.16)

Post RCT CBCT(2024.1.16)

MB

ML

D

MBは穿通しなかった。

ML, Dは穿通している。

これで治癒するかどうか?は時間経過と患者さんの免疫力と細菌の毒性の力関係だ。

これはいつもいう通りである。

Siqueria 2008 Clinical implications and microbiology of bacterial persistence after treatment procedures

それともう一つ。

ファイルが折れたことは、必ず患者さんに言わなければならない。

黙って問題が起きたら…あなたの責任になる。

なので、必ずその事実を告げなければならない。

ちなみに文献では、折れようがが折れなかろうがが、根管治療の成功率に変化はないとされている。

ということでこの日の治療は終了した。

次回は半年後に経過観察である。

が、この患者さんは上顎にも問題がある。

以下だ。

初診時歯内療法学的検査(2024.1.16)

#14 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#15 Cold+3/1, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#14にも打診痛と咬合痛がある。

ここも治療が必要な可能性が高い。

が、そこにはセラミッククラウンが装着されている。

嫌な予感がする…

PA, CBCTを撮影した。

初診時 PA(2024.1.16)

#14 初診時 CBCT(2024.1.16)

MB

DB

P

術前にこの歯にも咬合痛があったため、ここも治療となった。

またその詳細は後日、ご報告したい。