紹介患者さんの治療。
先日ご紹介したCaseの患者さんであった。
以下の記事がそうである。
根尖病変はないが…様々な症状が。患者がおかしいのか?それともあなたがおかしいのか??#29 Re-RCT3年2か月経過症例から学べること。
2024.1.4に私のアドレスにメールが来た。
内容を要約すると以下である。
先月、治療をしていただいた〜です。
治療後、二週間ほどで痛みが消失していたのですが、また治療前のような痛みが出てきました。
痛みはまだ通常続いていくものでしょうか?様子を見ていいのでしょうか?
治療前に痛みがあった同じ歯に少し強めな痛みが出てきています。
治療後の軽い痛みが消失していたのに今日から痛みを感じはじめました…
このメールからわかることは…
そう、私は負けたのだ。
再根管治療では埒が開かなかったのだ。
こういう時に悩むのは、どの歯を治療するか?だ。
対象歯は4本ある。
そのうちのどの歯なのだろうか?
主訴だった、#7なのだろうか?
はたまたBC sealerのみで根管充填した#8なのか?
それとも、
それとも、Overfillingしまくっている#9か#10だろうか?
#7
#8
#9
#10
画像的にはどこも疑わしい。
が、画像診断よりも臨床的な検査が重要だ。
まず、この日は検査を行った。
歯内療法学的検査(2024.1.5)
#7 Perc.(++), Palp.(+), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#8 Perc.(+), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#9 Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#10 Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#7,8に症状がある。
特に#7である。
初診時に戻った感じだ。
PA, CBCTは撮影していない。
再治療後1ヶ月で病変は変わらないからだ。
⭐︎以下、検査動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
繰り返すが、PA, CTは撮影していない。
撮影しても痛みがどこかはわからないからだ。
が、上記検査で患歯は#7,8とわかった。
ということは以下のように治療は進んでいくはずだ。
#7
CEJよりも11mm下方にApexはある。
3mmできると、頬舌的に4mmである。
Easyだ。
#8
#8の詳細は以下である。
9mmの歯根を3mm切断すると歯根はやや短くなるが、動揺は出ないと思われる。
理由は、術前の歯周ポケットがWithin Normal Limitだからだ。
歯内療法学的診断(2024.1.5)
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Apicoectomy
ということで、この日に治療へ移行した。
16:30に治療はスタートした。
うちの歯科医院は16:00に終わるので、スタッフは帰り、
非常勤の野間先生
が介助についてくれて外科治療が開始された。
この際、
ロキソニンをまず服用していただいた。
理由は急性症状があるからだ。
術前のNSAIDSの服用は麻酔の効果を向上させる。
が、上顎の麻酔なので下顎と比べて麻酔がすぐ切れるという弱点がある。
それらを術前に患者さんに話し、外科治療がスタートした。
スタート前に痛みがどうか?を聞くと、痛みはないという答えであった。
これは…
非歯原性疼痛が原因でない
ということの証左である。
ということで、自信を持って? 野間先生と2人で外科治療に臨んだ。
⭐︎以下、外科動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#7,8 Apicoectomy(2024.1.5)
#8のApexが見えるだろうか?
私には見える。
#7はCEJからの長さを計測し、Apexを探さなければならないことがわかる。
ということで、まず#8のRoot resectionから行った。
術前に9mmとわかっているので、3mm切断しても6mmは残存する。
しかもここは、BC sealerで根管充填しているので、形成してGutta Percha Pointの残渣に悩まされることがない。
が、動画を見てほしい。
どうなっているだろうか?
そう。私は流血に悩まされるのである。
以上を考慮し、この骨窩洞にはRacelletを置き止血を図ることにした。
その間、#7へ移行する。
#7はCEJから13mmにApexがある。
そこを狙い、OsteotomyしてApicoectomyを行った。
その後、#8へ戻る。
止血は図られているか?といえば、全くだ。。。
このような時どうすればいいか?だが、それは下の動画に示している。
“高級” 止血材料
である。
この後、PA, CTを撮影した。
問題はないと思われる。
縫合して終了した。
次回は半年後である。
また経過を報告したい。