バイト先での経過観察。

患者さんは30代女性。

以前の歯科医院(まつうら精密歯科)での患者さんである。

ちなみに、日本で初めて精密歯科という名前をつけたのは和田精密を除けば私が初めてだろう。

あれは2008年のことだった。

なんせ、なかよしファミリー歯科からまつうら精密歯科医院だ。

患者からしたら天と地がひっくり返ったような話だろう。

藤本研修会で藤本順平先生にも、先生は精密にやればいいんですよ!とか言われて茶化されたのを思い出す。

ということで、このまつうら精密歯科医院時代の患者さんである。

主訴は以下である。ある日私の以前の歯科医院に電話がかかってきた。

“ 歯がものすごく痛い。インターネットで先生のHP(この当時はHPではなく、Yahoo!ブログであった。)を見て先生の歯科医院なら!と思い電話しました。大分からですが、今から診てもらえますか?”

当時の私の医院は午前中に患者はほぼいなかったので、患者さんはこの歯科医院に訪れたのである。

その際のPAがいまだに残っている。

それが以下になる。

2011年のことである。

さて、あなたはこのPAを見て何を思うだろうか?

抜歯だろうか?

保存できるだろうか?

保存できるが問題はあるだろうか?

口腔内写真も当時はあったが、以前の歯科医院を取り上げられてしまったので今はない。

が、言えることは歯質はこの歯を保存させることができるだけ十二分に残存していた。

こうした症例を見たときにあなたは何をどのようにして患者に説明するだろうか?

この実際の患者への説明の仕方・方法は次回のBasic Course 2021 第1回で行うので参加される先生は楽しみにしていただきたい。

ちなみ話は逸れるが、私のセミナーや講義はどのようなものでも撮影可能である。

動画撮影も可能。iPhoneなどで撮影してください。

ただし条件は、私を撮影しなければだ。

私を撮影しても誰も喜ばないでしょう?

私は醜い?私の姿形を誰よりも見たくないので。

話を戻して、私は患者さんにこの歯の問題点や治療方法などを伝えた。

(根尖性歯周炎があるという問題、歯周炎の分類の話、治療するのであればどのような治療になってどれくらい成功率があるか?、提案した治療がうまくいかなければどのようなリカバリーの方法があるか?、治療回数、そして最後に治療費の伝達)

日本人には治療費は一番最後に伝えなければならない。

治療費を最初に伝えられると日本人は身構える。

アメリカ人はその逆だ。

治療費が先である。

ということで患者さんは治療に同意して再根管治療となった。

治療は首尾よくうまくいき、患者さんは大喜び。

それから6年後、この患者さんは私にたいそう感謝してくれて私の以前の歯内療法のみの歯科医院に必ず通院してくださっていた。

そのときに撮影したPAである。

最後の経過観察は2018.2.14であった。

その際のPAは以下になる。

これが私が倒れる前の最後の経過観察になってしまった。

この後、患者さんは補綴が何度も外れるためレジンコアをメタルコアに変更し、他院で治療となった。

その後、私は倒れて歯科医院を取り上げられてしまったが、私のバイト先にこの患者さんは来院してくれた。

根管治療+補綴治療してから既に10年が経過している。

私の中で歯内療法を行なって、最長の症例だ。

その際に撮影したPAは以下になる。(2021.3.8)

#31の周囲の歯も症状はなかったがこの成功体験がきっかけで全てやり直しとなった。

この方とは、旦那さんも含めて、今でも付き合いがある。

きちんと経過観察に来てくれる。

退院した時はプレゼントもいただいた。

先生に死なれると困るとまで言われた。

このような名誉な言葉をあなたは今まで聞いたことがあるだろうか?

あなたが歯科医師であるとしてこのような人との付き合いがあるだろうか?

日本の、特に若い歯科医師の方に伝えたい。

前を向いて学習すれば世の中の問題は乗り越えることができます。

その覚悟があれば、ともに頑張りましょう。

私は応援します。