3/15(日)は、まつうら歯科医院でBasic Course 2024 第12回が行われた。
この日で最後である。
テーマはApicoectomyの基礎とCase Presentationである。
午前中にApicoectomyの話から行った。
まずApicoectomyの基礎の話からである。
Apicoectomyの際に最低限、必要な麻酔薬は何だっただろうか?
そしてそれが必要な理由は何だっただろうか?
その後、切開を行う。
その際に、禁忌の切開方法は何だっただろうか?
なぜその切開方法がダメか?理由を言えるようになりましょう。
私がよく行うのは、パピラベースでの切開である。
その昔、ある人に、
何でそんな切開の方法を行うのか?と説教された
やつだ。
以下のケースでもパピラで切開している。
オペ後は以下のようになった。
さて。
この後、この患者さんはどうなっただろうか?
それが以下の写真だ。
ペリオの問題が出ていますか?
患者は審美障害に悩まされていますか?
なぜそうした問題が出ていないのですか?
といえば、
術前にペリオの問題がなかったから
だ。
ペリオの問題がない患者にどうして審美的問題が起きようか?
もっと、
“きちんと” ものを考えて
もらいたい。
切開したら必要ならOsteotomyを行う。
その際の注意点は、Apicomarginal Deffectを作らないようにすることだ、と学習してきた。
が、である。
以下のケースはどうだろうか?
外科後に装着されたクラウンは不適合で、
術前に上顎洞炎があり、Apicomarginal deffectがあった症例であるが、
術後には、
上顎洞炎は消え、頬側の歯根の表面には歯槽骨が回復してきている。
なぜだろうか?
といえば、
術前にペリオの問題がないからと、意図的にApicomarginal deffectを作っていないからだろう。
このように、
歯内療法は歯周病に問題がある歯にはできない
のである。
よく覚えておきましょう。
その詳細は、
Advanced Course 2024
でお話ししますので。
その後、Root resectionする。
その長さは3mmであると言われている。
その理由は以下の文献だ。
3mm切断するが、どのようにそれを行えばいいだろうか?
何を持って3mm切断した!と言えるだろうか?
それは…このブログの読者ならわかるだろう。
道具を定規のように使用するのである。
3mm切断したらRetroprepだがその切断する歯根の長さは何によって影響を受けるか?といえば切断時の角度である。
角度は何度が理想的だろうか?
歯根を切断したら、掻爬を行う。
その際のポイントは何だろうか?
このように、文献をベースにして臨床をするアメリカと、
経験でものを判断する日本には、もはや大きな差がついていると言わざるを得ないだろう。
その後、逆根管形成していく。
この際の形成量は、どのような角度で根尖部を切断したか?で決まる。
角度が45°ついても、深さ2.5mm形成すれば問題がないと言われている。
超音波スケーラーの長さは何mmだっただろうか?
ここに外科治療の真髄がある。
多くの失敗の原因は、
角度がついた根尖部の切断とそれに伴う?浅いRetroprepであることが多い。
このことからも、何mm形成するか?が非常に重要であるといえる。
逆根管形成すれば、逆根管充填だ。
様々なやり方があるが、それを解説した。
根切して逆根管形成し、逆根管充填をSuper EBAで逆根管充填した。
ちなみに…
これが人生で最初で最後のSuper EBA逆根充である。
上記の動画を見ていただければ何がその際のコツか?わかるだろう。
ここから3ヶ月後に来られPAを撮影した。
よく治癒している。
が、現在は完全に連絡がつかなくなってしまった。
あの人は、今?というやつだ。
このように逆根管充填はSuper EBAセメントでもいいのだが、EBAセメントは時代から消えた。
なぜならば、MTAセメントの出現のためだ。
が、何を思ったか、
このセメントで神経が保存できる!
と認可を得てしまった会社のために、日本は迷走してしまった。
それはアメリカに戦争で負けた時と何も変わらないというのが、日本の事実だ。
今は、某社の材料だけが合法的に外科治療に使用できる。
その話は、
Advanced Course 2024
でしましょう。
頬側の歯槽骨が回復した。
歯周病治療では起きないことが歯内療法治療では起きるのである。
その理屈は…
これも
Advanced Course 2024
でお話しします。
その後、変色を起こさないBrasselerのBC puttyが出現した。
しかし、私は抜糸の日に脳出血で倒れてしまった。
その後、患者さんは今の博多駅前3丁目の歯科医院に来てくださった。
術前の根尖病変は完治した。
とこのように時代はどんどん変わっていく。
が、どの業界でも、
簡単なものや術式に流れていく傾向は変わらない。
今や、Sealerを逆根管形成部に入れてそこにBC puttyを置くだけという、Lid Techniqueがこの業界の主流?になるだろう。
その後、縫合していく。
最後に治癒の過程について説明した。
このように歯内療法には外科治療があるので、ほとんどの歯を残すことが可能である。
もちろん、外科治療ができれば、だ。
とここまでがこの日の午前中の講義である。
午後からは、参加者にCase Presentationをしていただいた。
まずは、S先生。2ケース発表してくれた。
Sinus tractがある#8の根管治療である。
なぜこのようなことが起きたか?といえば、#8の近心の窩洞が極めて深いからだ。
こういう治療はこのように歯内療法の問題を引き起こしてしまう。
また、この先生にここでツッコミを。
この先生は問題がある歯しか検査していない。これは、いいとはいえない。
が、なぜこうなったか?といえば、CBCTがこの先生の歯科医院にはあるからだ。
明らかに#8に問題があることがわかる。
CBCTの存在は、一部を除き、PAを完全に凌駕していると言って差し支えないだろう。
ということで治療へ移行した。
この後、以下のように根管形成し、根管充填した。
半年後にCBCTを撮影した。
Complete healingと言える状況だ。
このように、
HyFlex EDMを使用した根管治療が成功の鍵!
になっている!のではなく、
防湿に配慮した根管治療が成功の鍵になっていることはいうまでもないだろう。
2ケース目は#30である。
これもPAから#30が患歯であることは間違いないだろう。
CTも撮影した。
病変のあるMにはシーラーパフが、
Dにも病変はあるが、パフがなかった。
Underfillingの可能性がある。
が、ラバーダムをかけて治療しているのでその予後は上顎の前歯同様、良好であると思われる。
感想を述べれば、
治療自体は真面目で非常に熱心に治療していると思う。
それだけに、ドキュメンテーションの甘さが気になった。
これからもっと精進して、その地域で頑張ってください。
先生を私は応援しています。
次がA先生。
3ケースを提示していただいた。
このコースに出る前に治療した患者さんの再根管治療から発表していただいた。
ラバーダムなしで根管治療をしている。
これでは…治癒しないし問題は解決しない。
そこで先生はやり直しをラバーダムをかけて丁寧に行った。自戒を込めてだ。
ここから時間が半年経過した。
先生は生まれ変わったのだ。
これからは頑張ってください。
再治療だが見事に回復傾向である。
2ケース目は#4 RCTである。
ルールを遵守した治療で結果を出している。
素晴らしい変化だ。
変化していくことができる人間はこの業界で生き残れる歯科医師である。
先生、頑張ってください。応援しています。
次はG先生。
2ケースを発表してくれた。
このCBCTからMB2が存在しないということが理由を持って判断できるだろうか?
このことからも…
歯内療法にCBCTは欠かせないということがわかる。
であればこそ、術後も撮影してもらいたかった。
もう1ケースである。
こちらも術後のCBCTを撮影して欲しかった。
もはや、CBCTは歯内療法にはなくなてはならないものである。
偏心撮影にもはやそれほどの意味を持たないことからも、この流れは変わらないだろう。
頑張って練習してまたケースを見せてください。
応援しています。
次はT先生。
4ケースであった。
上手に治療できている。
しかも、パフがある。
根管の中を完全にパックできていることの証左だ。
次は#3のRCT。
断髄で石灰化している。
さあ穿通可能だろうか?
MB,Pは穿通している。
DBは穿通できなかった。
が、Sinus tractは消失した。
臨床的には成功と言えるかもしれない。
次が、#30のRe-RCT。
Healingと言えるだろう。
ラバーダムをかけた根管治療の威力が爆発した感じだ。
経過をこのまま追っていただきたい。
最後が自家歯牙移植のケース。
FPDで安定している。
が、私なら抜歯して口腔外で根管治療して根切して逆根充して移植しただろう。
が、それは瑣末な違いなので問題はない。
また経過を見せてください。
ありがとうございました。
次はK先生。
5ケースを提示していただいた。
Advanced Course 2022にも出席いただいたのでその結果も一緒に提示していただけた。
2ケースともよく治癒している。
が、大臼歯はRetroprepが浅い。
これでは治癒しないこともあるので、
必ず新品の超音波スケーラーを購入して逆根管形成をしましょう。
3ケースの予後はこの短期間ではわからない。
が、
この先生は私のコースに出て、
こうした治療を行うことの正当性を学ばれたと思う。
今後とも続けて頑張ってください。
そしてケースもまた見せてください。
よろしくお願いいたします。
次はO先生。
昔、GCとやっていたマイクロエンドコースにも出席してくれた先生である。
それを考えると改めて学び直す必要はないが、また来てくれた先生だ。
2ケースである。
よく治癒している。
問題がない。
次のケースは以下。
破折ファイルは結局除去できなかった。
が、バイパス形成し穿通させている。
ファイルを取ることが唯一の正義ではないのだ。
病変はすっかり治癒していることがわかる。
が、私が教える前はこういう治療をしていたそうだ。
これで何が悪いんだ!と思っていたという。
これではお話にならないが、
お話になぜならないか?
ならないならどうするか?
どういう解決方法があり、どうすればそれが身につけられるか?
そのためには何をすべきか?
を悟ったこの先生の歯科医院の現在の盛況ぶりは他院からすれば脅威だろう。
先生にはもう教えることはありません。
先生はもはや、教わる方ではなく、教える方です。
これからもよろしくお願いします。
その他のBasicに無関係なケースも紹介してくださった。
外科治療
Regeneration
こちらこそありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。
最後が、口腔外科出身のN先生。
この先生とは、2016年くらいからの付き合いである。
5ケースを提示していただけた。
最初のケースは、#19のRCT。
よく治癒している。
素晴らしい。
2ケース目は#18のRe-RCT。
この歯は割れてますね、と言われるやつだ。
が、割れているかどうかはIntentional Replantationでそのは自体を見てみないとわからない。
また、PAから全く根管治療をしていないことから、再根管治療へ踏み切った。
穿通しない根管があったのに根尖病変が治癒している。
その理由があなたにはわかりますか?
私にはわかります。
そして、Basic Courseに出席すればわかります。
患者さんはこの東京・上野の、いい歯科医院に通えてラッキーだっただろう。
素晴らしい治療だ。
3ケース目は右上2の再根管治療。
絶望的にでかい根尖病変だ。
ここから経過を見ていく。6年が経過していた。
瘢痕治癒というようなレントゲン像だが、ここまで治癒しているのには恐れ入る。
CBCTは以下だ。
Complete healingにはもう少し時間がかかるだろう。
が、まだ時間経過を追えばいい。
これを追えない人が、ネジに走るのだから。
4ケース目は#9の外科治療。
側枝も根管形成し、充填している。
5年経過し、問題は消失した。
口腔外科の先生は正しいエンドを学ぶと強い。
それが如実に現れているケースと言える。
最後のケースは左下5。
問題はない。今もこの歯は機能している。
これは、エンドペリオ病変でなく、エンド病変だったのだ。
そして最後のメッセージ。
GPは修復や補綴もあるのでエンド脳が退化しやすいが、先生なら大丈夫でしょう。
この先生ももはや、教わる方ではなく、人に教える方の先生だ。
またいつでも来てください。
ということでBasic Course 2023は終了した。
さてみなさん、1年間、どうでしたか?
長かったですか?
しかし、やるべきことはたくさんあるし、外科もしないといけないし、歯科医療は歯内療法だけでも大変なのです。
でも、習ったことを続けてやっていけば、誰でもできるようになります。
そして、その地域で歯内療法といえば、この歯科医院!という存在になってください。
そういう歯科医師を多く作り上げることが私の残された人生の生きがいですので。
長い間、お疲れ様でした。
また会いましょう。
みなさん、お元気で。さようなら。また会う日まで。