紹介患者さんの治療。
主訴は、
左上の奥歯のクラウンをやりかえるのだが、根管治療のやり直しが必要か?診てほしい
である。
歯内療法学的検査(2024.1.29)
#14 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#15 Cold+2/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
臨床症状は全くない。
PA(2024.1.29)
CBCT(2024.1.29)
MB
DB
P
MB,DBには根尖病変はない。
Pは根管治療を全くしていない。が、ここも根尖病変がない。
だがそれは、
今は、だ。
今日は、根尖病変のない歯の再根管治療について、もし施術者が治療を進めるのであればどういう方法があるか?を学術的にまとめてみた。
この手の問題で一番話題に出るのは、以下の文献だろう。
Molander 1998 Microbiological status of root-filled teeth with apical periodontitis
この文献によれば、
根尖病変のない根管充填材を除去すると9/20=45%の歯にE.feacalis(大腸菌)やCandida Albicunsなどの細菌が検出されるという。
つまり、補綴をやり直すのであればこうした細菌が根管にいてもいいのか?と言う話になる。
それを決めるのは患者さんだが、通常は根管治療をやり直した方がいいだろう。
ではやり直した場合、どれくらい成功率があるだろうか?
Akerblom 1988 The prognosis for endodontic treatment of obliterated root canals
によれば、
98%
と言われている。
つまり、ほぼ成功は間違いないと言える。
私はこの事実を2008年には知っていた。
だから…4000万も貯金してアメリカへ行けたのである。
でなければ、この貧乏人の小倅がそんなところに行けるはずもない。
歯内療法学的診断(2024.1.29)
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Normal apical tissues
Recommended Tx: Re-RCT
ということで、同日、治療へ移行した。
#14 Re-RCT(2024.1.29)
問題はない。
半年経過を見て問題がなければ最終補綴だろう。
またその模様をお伝えします。