紹介患者さんの治療。
主訴は、
1ヶ月前に、何もしてなくても歯が1週間くらいすごく痛かった。痛み止めを飲んでも効かなかった…今は落ち着いたが、あの痛みはもう味わいたくない。治療が必要だと思うのでお願いしたい。
であった。
この文面から、恐らく感染が原因で急発したことがある患者さんであることがわかる。
が、解消方法は前から述べているように、何もない。
昨年、東京で話した通りだ。
歯内療法学的検査(2024.3.4)
#2 Cold+2/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#3 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(+), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#3に圧痛がある。
PA(2024.3.4)
すでに太く根管形成・根管充填されている。
再根管治療は無駄だ、と言うことがわかるだろう。
CTも撮影した。
CBCT(2024.3.4)
MB
MBのApex周囲に病変がある。
そして、
MBの詳細は、
CEJより11.5mmにApexがあり、
Apexから3mmできると、頬舌的に5.5mm切断しなくてはならない。
その際、解剖学的に不利になる要素は何もないことがわかる。
また、MBはその中心にGutta Perchaがあることから恐らくMB2はないだろう。
つまり、MBは事実上、上顎前歯のApicoectomyと同等レベルの優しい治療である。
DB
DBの根尖部には病変がある。
CEJよりも12mm下方にApexがあり、そこから3mm切断しようとすると、
頬舌的に4mm切断すればいいということがわかる。
ここも1根管性だ。
P
Pには病変はない。
以上からこのケースを整理すると、
①MB,DBに病変がある。
②Pにはない。
MB,DB両方とも根切していかなければならない。
が、その前にメタルコアをレジンにやりかえないといけないだろう。
歯内療法学的診断(2024.3.4)
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Core build up→Apicoectomy MB,DB
ということで、初診のこの日に支台築造して、別日に外科治療になった。
(以下がCore build up後のPA)
☆この後、外科動画出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#3 Apicoectomy(2024.3.15)
MBよりApicoectomyを行っていく。
前述したようにこのMBには1つしか根管がないので非常に楽である。
形成後にGutta Perchaを折りたたむのが一番厄介だろう。
逆根充して切り残しを調整した。
メチレンブルーで最後に染めたが、問題はないだろう。
次がDBである。
私にはこの最後の絵で、どこにDBのApexがあるか?わかった。
私にはこの上記の絵で、どこにApexがあるか?想像がつく。
あなたはどうだろうか?
Apexから3mmで切断した。
超音波チップが窩洞に入り切らないときはこの動画の最後にあるようにOsteotomyで工夫すればいい。
すると挿入できるようになる。
逆根管形成し、逆根管充填した。
術後にPA, CBCTを撮影した。
問題はないと思われる。
縫合して終了した。
ということで、次回は半年後である。
また状況をお伝えしたい。