紹介患者さんの治療。
主訴は、
根管治療、外科治療まで行ったが、治療がうまくいかなかった。。。歯も抜きたくない。。。何とか残せないだろうか?
であった。
治療歴は以下である。
かいつまんでまとめると、
再治療をして治癒しなかったので、
Apicoectomyまで行ったが、治癒しない、
もう埒があかない、
でも患者さんは抜歯はしたくない!諦めたくない!
ということで、私がバイトに行っている、
学研都市歯科・矯正歯科
に来院された。
理由は、
米国歯内療法専門医が月一回バイトに行っているから
である。
これらが、この時の状況である。
どうすればいいだろうか?
ここまでの資料に目を通すと、Apicoectomy一択の可能性が高い。
歯内療法学的検査(2024.2.14)
#8 Cold NR/20, Perc.(-), Palp.(+), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)
#9 Cold+2/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#8にはSinus tractがあり、圧痛がある。
PA(202.2.14)
Apicoectomy的な治療はかつて行われているようだが…
うまくいっていないようだ。
何が起きたのだろうか?
人工骨も目に入る。
このことは嫌な予感を惹起させる。
根尖病変に人工骨を入れると、Apicoectomyで治癒したか?しないか?がわからなくなる。
なので、そういうものは入れない方がいいと私はUSCで教わった。
もちろん、
入れろ!というインストラクターもいたが、私はそういう人とは一緒に仕事をしていなかった。
CBCT(2024.2.14)
これは…Apicoectomyとは言わない。
なぜか?
根を切断していないからだ。
このように、
前歯でさえ難しい治療?が歯内療法外科
だ。
この逆根充されている部分まで切断が必要だろう。
反対側同名歯は以下のようである。
歯根の長さに違いはない。
ということは、3mm切断が必要な案件であるとわかる。
歯内療法学的診断(2024.2.14)
Pulp Dx: Previously initiated therapy
Periapical Dx: Chronic apical abscess
Recommended Tx: Re-Apicoectomy
推奨される治療は、再・Apicoectomyである。
問題点は、
①歯根の切断が行われていない
②逆根管形成・逆根管充填が必要
③歯肉退縮は歯周組織の問題がないのでほぼ起きないだろう(が、多少は歯肉が下がる可能性)
④成功率は、90%
(が、この数字は、“米国歯内療法専門医” が行えば、の数字である、ことを強調した。)
⑤うまくいかなければ、Intentional Replantationが必要
というところである。
患者さんは治療に同意し、この日に外科治療となった。
☆外科動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#8 Apicoectomy(2024.2.14)
#6の近心に縦切開を入れて外科治療は開始された。
Apexは歯槽骨がないので容易に見つけることができた。
この長さを3mm切断するのであるが、他院ですでにApicoectomyもどきが行われているので、逆根管充填されている部分まで切断し、Apexから逆根充されている部分まで切断して、逆根管形成し、逆根管充填した。
PA, CBCTを撮影した。
問題はないと思われる。
縫合して終了した。
次回は、半年後である。
さて。
私とこの治療を行った歯科医師との違いは何か?と言えば、
感染をどうマネージメントすべきか?を理解しているか、いないか、の差であるといえる。
切らずに削ってMTA詰めても治りません。
意味がわからない?あなたは、
Advanced Course 2024
でお待ちしています。
ということで、また経過を皆さんにお見せしたい。