2019年4月から行う予定であったBasic Courseがコロナの影響で今日から開始した。

参加者は全部で16名。遠くは東京から参加していただいている先生もいた。

まず今日の話をする前に受講生の先生の自己紹介、私の自己紹介、手伝いをしていただける先生の自己紹介を行なった。

ちなみに私が脳出血で以前の病院が閉院に追いやられたことはほとんどの方がご存知のようであった。

ということで本日はその記念すべき1回目。

話のテーマは

  1. 無菌的処置の重要性
  2. 難治化した場合の原因とその対処法と予防法
  3. 診査診断
  4. まとめのテスト(口頭試問)

であった。

  1. 無菌的処置の重要性

根尖性歯周炎の原因はバクテリアである。

これを根管治療ではゼロにはできないが減らさなければいけない。

ではこのような状態でバクテリアがゼロになるだろうか?

それは無理である。あなたがいくら効果的にバクテリアを減らしたとしても新たな細菌が根管に侵入してしまう。したがって唾液が侵入してこないようにブロックするラバーダムが必要である。

しかしながら、歯内療法処置には成功率がある。

あなたはこの図にあるそれぞれの根管治療の状態の治療の成功率がわかるだろうか?

レントゲンのどこを見るのか?これがすごく重要である。

そして自分が再治療してその状況は改善できるだろうか?

すでになされてしまったものはどうにもならない。全ては根管治療の何で決まるのか?

ラバーダムすれば全ての症例でうまくいくわけではない。ポイントは根尖部がどうした処置を受けているか?である。

2. 難治化した場合の原因とその対処法と予防法

歯内療法処置はなぜ難治化するのだろうか?

あなたの根管充填がへぼいからだろうか??

または全ての根管は埋めてしまわないといけないのか??

根管に空洞があると問題(Hollow tube theory)か?

なぜ炎症が激しく出るときがあるのか?それはTorneckにより1966,1967年にはすでに示されていた。

それでも成功率は100%ではないので治癒しない場合があるだろう。

そうした場合に必要なのは外科治療だが、あなたは外科治療ができるのだろうか?

できなければどうするのか?

できるようになるのか?

できる人に紹介するのか?

投げ出すのか?

それはあなた自身が決めなければならない。

では外科治療を行うとしたら何が必要なのか?

なぜ顕微鏡は必要なのか?

なぜ超音波が必要なのか?

なぜバイオセラミック系の材料が必要なのか?

あなたは答えが出ますか??

3. 診査診断

歯内療法処置の前にどの歯に問題があるか?を検査しなければならない。

そのためには診断が必要だ。

その際に重要なことは患者の主訴を再現する(reproduce)ことである。

ではどのような方法で再現すればいいのだろうか?

Sensitivity(病気である歯を病気であると判定する能力)やSpecificity(病気がないものを病気がないと判定する能力)が高い検査が理想的である。

しかしそのような検査はないし、費用が高額だ。

したがって、歯髄に対してはCold, EPT, Heat testを、

根尖部の歯周組織に対しては打診痛の有無、根尖部圧痛の有無、咬合痛の有無を検査する。

それによって歯内療法の病名を決定しなければならない。

病名を日本語で覚えるのは無理だ。世の中の共通言語が英語だからだ。だから病名は英語で受け入れるしかない。

Cold testはどういう場合が根管治療が必要だろうか?

なぜEPTをしようとするのか?必ず必要なのか?

Heat testも同様だ。

それぞれの特徴を押さえなければならない。

Dentalはなぜ2枚取るのか?2枚とったら保険で認められないのではないか??などという心配をする人はエンドの勉強はしないほうがいいだろう。

いやうちの歯科医院にはCBCTあるから大丈夫だろうか??

AAEの診断に関する冊子には設問が7つもついている。あなたはこれに正しい病名をつけれる=答えを出せるだろうか??

答えが出せなければ根管治療など止めることをお勧めする。

なぜか?根管治療しなくても別に人は死なない。

そしてデタラメな根管治療を咎める人も誰もいない。

そして下手すれば患者自身が興味がない。

あなたは針のむしろの上にいるのかもしれない。

歯科医師にとって根管治療は難しいらしい。

しかし難しくしているのはあなた自身に問題があるからではないだろうか??

あなたがどうなろうと誰も興味はないが、少なくともこの仕事を選んでエンドの勉強に来た以上はあなたのところに行けば何かが起こせるであろう臨床家になってもらいたい。

そのためには今あなたがどうすべきか?答えはもう出ているのだ。

この道に来た以上、言い訳は許されない。

そして患者のために力が発揮できる歯科医師であってもらいたいと思う。

さて次回は根管形成、根管充填の話、そして実習だ。

次回までに必要なことは

  1. 抜去歯牙をチャンバーオープンして持参しておく(親知らずは持ってこないようにしていただきたい。ない方は通販で買える。)
  2. C+ Fileの#6,8,10を購入し持参
  3. HyFlex EDMの#10.05, #20.05, #25.V, #40.04, #50.03を購入し持参

していただく必要がある。

次回はなぜ根管形成に上記の道具が必要か説明し、実習を行って行きます。

場所に関しては8/1に判明しますのでしばしお待ちください。