7/30(木)はJR博多シティ10階会議室で第30回目のイブニングセミナーを開催した。
このセミナーを立ち上げた時から決めていることがある。
受講者が少なく採算が割れたら(会場費>受講料になれば)このイブニングセミナーは中止しようということだ。
もともとこのセミナーはエンドに興味がある先生を対象に行ったものであった。
しかしながら気づけば途中でとてつもなく人が集まりそこで私も会場をでかいところに設定したが、私に魅力と話術がなかったのか?たちまち受講生は減少していった。
この日は参加者の一人の先生が身内の不幸で急に参加できなくなってしまった。
それで参加者は4名。さあもう店じまいだなとか思っていたら終盤に2人の先生が参加してくれて全部で6名で何とか採算割れは回避できた。
ということで来月もこのセミナーは継続されることが決定した。
今回は
- 石灰化した根管をあける方法
- Radix Entomolarisとファイル破折
について解説を行った。
- 石灰化した根管をあける方法
石灰化した根管をあける時あなたはどうするだろうか?
C+ Fileで穿通?できればいいがなかなか難しいだろう。
そのような時に役に立つのは#10のNi-Tiファイルだ。
まずColtenが提示しているこの図は歯内療法のプロから見ると首を傾げるところが多い。
#10.02で穿通させてなぜ#10.05で形成しなければならないのだろうか。
それを使用する必要性はないはずだ。
#10.05を使用するのはどういう時か?理解する必要がある。
この右下5番は穿通するだろうか?
結果的にはしなかったし根尖病変がないため穿通させる必要性もないがポイント試適では問題のない位置までガッタパーチャが試適されていることがわかる。
どうしたらこうなるか?について説明した。
2. Radix Entomolarisとファイル破折
Radix Entomolarisという複雑な歯根の形態が存在する歯がある。
そうした形態を持つ患者の根管治療が私に紹介された。
湾曲が強ければ強いほど根管形成は難しくなる。
CBCTを分析した。
近心根。
近心根には根尖病変がものすごく小さく存在するか根尖病変はない状態である。
次に遠心根。
ここには根尖病変が存在するため穿通は必至である。
しかし歯根が著しく長いことが想像できる。
そして最後に問題のRadix entomolaris。
かなり強い湾曲があるが、ここには根尖病変がない。
つまりこの根管治療の最大のポイントになるのは長い遠心根である。
近心根はMLからは穿通できそうな感じはする。だがやってみなければわからない…
D根は長いので根管治療がやりにくい。CBCT上で計測すると23~24mmはあった。
ここの攻略が最大のポイントだ。
ということで治療前に患者さんに
①D根の穿通が必要
②M根も穿通が必要な可能性
③Radixは病変がないのでファイルが折れようが成功率は90%以上ある
ことを説明した。
しかしHyFlexはColten曰く絶対に折れません!ということだったので普通に根管治療を行った。
近心根は珍しく1根管であった。
しかし私は気づかぬうちにRadixの根尖部でファイルを折ってしまっていた。
しかしファイルが折れる可能性があることは治療の前に下のような契約書でインフォームドコンセントしているので問題はないし治療の予後を下げることもない。
一時的・永久的な麻痺は伝達麻酔をするから出るんだろう!とかいう人は日本人に多いが論文ではいまだになぜそれが起こるのか?謎である。
私が留学で最も変わったことは伝達麻酔をするようになったことだ。
この件に関してはいずれセミナーで実践したいと思っている。
USCのインフォームドコンセントシートにもそれは記されている。
それにサインをしなければクリニックには案内されない。
麻痺が嫌なら来るな、という話である。
日本人なら死ぬほど粘るだろうがアメリカでは納得いかないなら、サヨナラと言われるだけだ。
ということで根管治療を行ったが遠心根は作業長が24mmであった。。。
そして気づかぬうちにradixでファイルが折れていた。
が、根尖病変はないので治療の予後に影響は与えない。
この治療で治らなければ外科治療である。
Radixをどう切断していくか?に関してはテクニックはある。もし必要なれば再び解説したい。
ということで根管治療は1回で終了した。
根管治療が1回で終わっていいのか?と必ず聞かれるが1回で終わっても2回以上かかっても予後に差がないことが論文では示されている。
この日は時間がなくてここでセミナーは終了した。
本来は麻酔の話だったが。。。
この日参加した先生は大きな知識を得たことだろう。
次回は8/27(木)JR博多シティ10階会議室で20:30~22:00行われる予定である。
次回は上顎、下顎の歯髄炎に対する麻酔の効かせ方について説明していく予定である。
次回もやはり参加者が少なすぎるようであればこのセミナーは終焉を迎えるが・・・
では次回をお楽しみに。