紹介患者さんの外科治療。
再根管治療が奏効しなかったので、この日にApicoectomyへ移行した。
分析は以下である。
オトガイ孔は術野よりも遥か彼方にある。
外科治療でそこを切ることはないだろう。
安全にできる。
CEJよりも7mm下方にApexがある。
歯槽骨が破壊されているので、Osteotomyはほぼ不要だろう。
3mmで切断すると、
頬舌的に5mmの切断が必要だ。
深い!距離ではない。
が、MBの根管充填は偏位している。
つまり、既に根管充填されているGutta Perchaは、
逆根管形成のサイン=MBの存在証明
にはならないということがわかる。
根充材よりも頬側を形成しなければならないのだ。
ここがこの治療の最大のポイントだとはこの時点は気づいていない。
実に歯内療法というのは…奥が深い。。。
自分が上手くなった!と思っても、差をつけられるのだから。
⭐︎この後、外科画像/外科動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#30 Apicoectomy(2024.2.15)
逆根管充填後にPA, CBCTを撮影した。
これらだけではその可否を正しく判断できない。
CTも撮影した。
逆根管形成したものの、形成が最頬側の根管を形成できていない。
私がMBを見落としていたことがわかる。
なぜか?
術前の根管充填がトランスポーテーションしているからだ。
ここに落とし穴があったのだ。
単純だが、こうしてBlogを更新していて気付かされるポイントだ。
こうもしなければこういう事実に気が付かなかっただろう。
さておき、これでは治癒しない。
こういう確認作業ができるところが、CTの最大の強みだ。もっと頬側を形成しなければならない。
ということで、逆根管形成・逆根管充填をやり直した。
破折ファイルもご丁寧に?拾っておいた、ことは治癒には対して寄与しないが。
逆根管形成と逆根管充填をやり直した後、PA, CBCTを再度撮影しなおした。
問題はないと思われる。
縫合して終了した。
外科中にFlapの上にミネソタリトラクターが乗っていたため、術後は腫れるだろう。
抗生物質を処方しなければならないだろう。
私が抗生物質を処方する場合は、こうした場合と患者さんが希望する場合のみだ。
次回は半年後である。
このCaseからわかることとして、
根管充填がトランスポーテーションしている根管をApicoectomyする場合、Retroprepの位置は本来の根管の位置からズレている位置にあるので注意する
ということである。
頭を使わなければならない。
一つとして同じ事例が挙げられるCaseはないのだから。
また経過をご報告したい。