紹介患者さんの治療。
主訴は
感染があるので治療をお願いしたい
であった。
☆この後、検査動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
歯内療法学的検査(2024.6.19)
#29 Cold+3/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#30 Cold NR/20, Perc.(-), Palp.(++), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Swelling(+)
#31 Cold+4/1, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#31と#30の間にSwellingがある。
そこを押さえると、痛みがあった。
それ以外は何もない。
PA(2024.6.19)
再根管治療を紹介医がしている。
もちろん、私が教えた通りに、だ。
ラバーダムもかけた、
マイクロスコープも使用した、
Ni-Ti Fileも使用した、
C-solutionも使用した、
#40.04以上まで拡大した、
BC sealerで根充した、
が、治癒していないという。
なぜだろうか?
お金をかけたのに、意味がないじゃないか?!
というあなた。
そういうこともあるのです。
以下の文献がその答えだ。
Siqueria 2008 Clinical implications and microbiology of bacterial persistence after treatment procedures
いずれにしても近心根に問題があるように見える。
詳細はCTを撮影した。
CBCT(2024.6.19)
M
M根の根尖部に大きな病変がある。
ここが問題の部位だ。
D
D根の根尖部にも病変があるように見えるが…
これは、M根の巨大な病変がD根にもあるかのように見えているだけではないか?と私は判断した。
Radix
Radixには病変はない。
すでに根管形成・根管充填が目一杯なされていること、
Swellingがありそこを押さえると痛みがあること、
M根の巨大な病変がD根にも回って見えているように見えること、
などから、
再根管治療ではなく、MのみのApicoectomyが第1選択であろう。
ただ、右下なので最難関な治療であることはいうまでもない。
が、
CEJよりも10.5mm先端にApexはあり。そこを数mm削るとApexは出てくる。
そして、そこを5.6mmの幅削合すると、Root resectionは完成だ。
口で言うのは容易だが…実際は難しいのが右下だ。
リトラクターを左手に持ち、右利きなので右手でApicoectomyをしなければならないからだ。
私が両利きなら…これほど容易なことはないのだが。。。
つまり言い換えれば、左利きの先生が一番難しいのは左下、と言える。(何を言ってるの?と言う話でしょう?w)
どうなるか?はやってみなければわからない。
どちらにしても、
うちの歯科医院のスタッフ総出で取り組まないといけない治療
になるだろう。
歯内療法学的診断(2024.6.19)
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Apicoectomy
ということで、同日にApicoectomyへ移行した。
☆この後、外科動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#30 Apicoectomy(2024.6.19)
さて、私は縦切開を入れる位置を#28の近心から#27の近心に変更した。
その理由が以下の動画にある。
詳細は、Advanced Course 2024で説明します。
CBCTを参考にOsteotomyしてApexを発見し、Root resectionした。
切断後の断面が、準備したCBCT画像と相似であれば、問題が少ない。
すると、ほぼ問題ないことがわかるだろう。
次に、逆根管形成した。
が、Gutta Percha Pointの残渣が逆根管形成窩洞に残っているのがわかる。
これを除去しなければ、その下にいる?かもしれない?細菌の減少が図れない。
と言うことでしつこく逆根管形成した。
最後にLid techniqueで逆根管充填した。
術後にPA, CBCTを撮影した。
問題はないだろう。
最後に縫合して終了した。
#30 Apicoectomy後 抜糸(2024.6.24)
次回は1年後の2025.6である。
またその模様をお伝えしたい。