紹介患者さんの治療。
主訴は
歯牙が破折していると言われたが、矯正治療も行う予定なので保存できないだろうか?
であった。
#15 歯内療法学的検査(2024.5.30)
PA(2024.5.30)
保険のパラクラウンにメタルポストコア。
これでは、歯牙が破折している可能性があると言わざるを得ない。
が、
そうであるかどうか?は歯牙を抜歯して直視するしかない。
さておき、ここまででかく拡大形成されていると再根管治療に勝算はほぼないだろう。
CBCT(2024.5.30)
MB
DB
P
完全に上顎洞と交通している。
これでは、歯牙の治療をするか抜歯しないとこの問題は解決しないだろう。
歯内療法学的診断(2024.5.30)
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Intentional Replantation
推奨される治療は、
Last Resort
と呼ばれる、Intentional Replantationである。
この治療には、生存率しかなく成功率がないという特徴があり、アメリカでは臨床家は実践していない。
その話をすると、
矯正は急いでいないのでまずは歯牙を残せないか?トライしたいという患者さんの希望があったので、別日にIntentional Replantationへ移行した。
⭐︎この後、治療動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#2 Intentional Replantation(2024.6.20)
メチレンブルーで染め出すが、歯牙に破折はなかった。
ということは保存できる余地がある。
Root resectionし、Retroprepし、Retrofillした。
PAを撮影した。
問題はないと思われる。
歯牙を再植してPA, CBCTを撮影した。
MB
DB
P
問題はないだろう。
ここから時間が1ヶ月経過した。
#15 Intentional Replantation 1M recall(2024.7.22)
歯牙の動揺は2週間で治ったという。
が、歯茎が腫れたという訴えがあった。
確かに、以下のように#15のDB付近にSinus tractができていた。
これがあるのは、
VRFがあったからか?
それとも一時的なものなのか?
はわからない。
が、動揺がおさまったことからまずはプロビジョナルレストレーションを装着してもらうようにかかりつけ医に依頼した。
その後、通常は経過を追わないが、2ヶ月経過時にも来院していただいた。
#15 Intentional Replantation 2M recall(2024.9.17)
Sinus tractは消失していた。
ということで次回は10ヶ月後の1yr recallでいいだろう。
またその模様をお伝えします。