紹介患者さんの治療。

主訴は

被せた歯が腫れて痛む

であった。

かかりつけ医の先生によれば、根管が石灰化しており穿通できなかったという。

その後、症状が消えたので最終補綴を装着したが最近、Sinus tractができたそうだ。

この文面・情報から私の頭の中には、

外科治療=Intentional Replantation(意図的再植)しか選択肢がないだろうな、

という想像がつく。

歯内療法学的検査(2024.9.4)

主訴は、ジルコニアクラウンが装着されている#31だ。

PA(2024.9.4)

CBCT(2024.9.4)

MB

ML

D

D根は破折している!と言われかねない状況だろう。

が、何度も言うようにVRFの有無は歯牙を抜歯して直視することしか証明はできない。

歯内療法学的診断(2024.9.4)

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Chronic apical abscess

Recommended Tx: Intentional Replantation

と言うことで推奨される治療はIntentional Replantation一択だ。

同日、治療へと移行した。

☆この後、外科動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。


#31 Intentional Replantation(2024.9.4)

治療は外科治療前に咬合調整し、BTを咬合させないようにしてから行われた。

このケースでもわかるように、

再植には脱臼させるための固定源が必要

だ。

抜歯後は、忘れ物がないか?チェックも必要である。

忘れ物はなかったので、ガーゼを咬合してもらい、口腔外の治療へ移行する。

メチレンブルーで染色したが、VRFと思しき破折線はなかった。

この段階で、Intentional Replantationへ移行できることがわかる。

そう。

つまり、破折はなかったのだ。

Apexから3mmで切断し、切断面をメチレンブルーで染色した。

逆根管形成し、逆根管充填した。

PAを撮影した。

問題はないと思われる。

抜歯窩へ再植した。

ガーゼを咬合させた後にCBCTも撮影した。

MB 

ML

D

問題はないだろう。

次回は歯牙の動揺が安定するであろう、2ヶ月後以降に除冠し、支台築造をやり直すことになった。

また治療の結果は1年後にお伝えしたい。