よく聞かれる質問に、
歯内療法の禁忌症はあるのか?
というものがある。
どういう歯が歯内療法できない可能性があるのだろうか?
症例を通して説明したい。
主訴:右下奥歯の歯茎の痛み
歯内療法学的検査(2024.7.24)
#30 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(++), BT(+), Perio Probe(WNl), Mobility(WNL), Sinus tract(+)
#30 初診時 PA,CBCT(2024.7.24)
近心根の周囲には歯槽骨がない。
このようなCT画像が上がると、
折れてるから外科はするな
とUSC時代にFacultyからよく言われたのを思い出す。
患者さんには垂直性歯根破折(Vertical Root Fracture)のことを説明し、治療は無駄である可能性が高いことを伝えたが、患者さんが熟慮の末、歯牙の保存を強く希望されたため、半年後に治療へと移行した。
⭐︎この後、外科動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#30 Apicoectomy(2024.12.2)
案の定、破折していた。
さて、なぜこのようなことが起きるのだろうか?
Hunter 1989 Effects of post placement on endodontically treated teeth.
によれば、
歯牙に対して負荷をかけるとどこに一番かかるか?といえば、
根管口部付近である
ことがわかっている。
つまり、
そこの直径が太く残存歯質が薄いと負荷がかかりやすいがために、歯根の破折を招いてしまう可能性が高い。
別のケースでもそうであった。
#25 Apicoectomy(2024.11.13)
VRFの可能性が高い。
が、直視しないとわからない!と患者さんが強く希望されたので外科へ移行した。
#25 Apicoectomy(2024.11.13)
やはり、破折していた。
このように、根管口部を大きく削除された歯牙は破折していることが多い。
逆にいえば、そういう治療を避けることが最大のポイントと言える。
今日は、臨床のヒントをお送りしました。