紹介患者さんの治療。
主訴は、
10年前から左下の歯茎にできものができて、最近はそこの痛みがひどかった…今はだいぶマシになったが、今も痛みがある。
であった。
歯内療法学的検査(2025.2.3)
#18 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#19 Cold N/A, Perc.(++), Palp.(++), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)
#20 Cold+1/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#21 Cold+2/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#19が患歯のようだ。
PA(2025.2.3)
患者さんによれば、10年前に神経の治療をし、被せたがその頃から歯茎にニキビのようなできものができていたという。
が、だ。
このPAから何が言えるだろうか?といえば、遠心根にはGutta Percha Pointが存在しない。
おそらく、スクリューピンを入れるために形成して外れたのだろう。
これでは、病気は治らないどころか進んでしまう。
CTも撮影した。
CBCT(2025.2.3)
#19 MB
#19 ML
#19 D
#19 MLに若干の、#19 Dに巨大な病変がある。ここが問題の部位だ。
また、#18も見てみた。
#18 M
#18 D
#18は症状はないが、Dに巨大な病変がある。Mはない。
少なくともDのみ再根管形成が必要そうだ。
ここは患者さんが希望すれば治療が必要だろう。
以下のような問題が出ることがあるからだ。
歯内療法学的診断(2025.2.3)
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Chronic apical abscess
Recommended Tx: Re-RCT(Mのみ)+Core build up→Apicoectomy(Dのみ)
治療はまず、M根の再根管治療を行い、支台築造し、その後にD根のみのApicoectomyを行う2回法だ。
☆この後、検査動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#19 M Re-RCT+Core build up(2025.2.17)
D根はApicoectomy予定であるので、
BC sealerで根充してペントロンのパテで充填した。
ペントロンのパテは硬化が早いので臨床的に使用できる。
次にM根だ。
ここはCBCTによれば、合流している可能性が高い。
まず直線的であろうMLからGutta Percha Pointを除去し、再根管形成したが、穿通しない。
こうなれば、
Mechanical Patencyだ。
そこでMLの長さを術前のCBCTから計測した。
MLは15mmだ。
クラウンの厚みを引いた長さが作業長になる。
それは、クラウンの厚みをメジャリングデバイスで計測する必要がある。
エンドの治療でまさかこのゲージを使用するとは…
GP時代の補綴治療じゃあるまいし。。。というツッコミは受け流さそう。
これで除冠したクラウンの厚みを計測する。
その長さを以下の写真から引けばいい。
それが
仮想RIL
だ。
MBは以下のようになる。
いずれにしても、MLの方を優先させた。
機械的に穿通させている(以下動画参照)。
この後、RILを測定した。
IBFは#20 K Fileだ。
根管再形成はその長さから0.5mm引いた長さを設定している。
それは、根尖病変があるからだ。
はっ?なあなたは、
Basic Course 2025
でお待ちしています。
そのまま再根管形成していった。
まずは#25.Vだ。
この入り方からすれば、MLはMAFは#60.02だろう。
次が#40.04だ。恐らくほぼ、形成できないだろう。
ということで、#60.02まで形成した。
以上の工程からMLは
穿通したK#20からHyFlex EDM #60.02まで拡大できている。
その拡大率は、
200%だ。
はっ?
意味が??なあなたは、
Basic Course 2025
でお待ちしています。
次がMBだ。
が、合流する可能性が高いだろう。
それを想定して再根管形成していく。
MLを再根管形成し、
当該Gutta Percha PointをMLに挿入し、
MBにファイルを入れてグリグリやる。
すると…
Gutta Percha Pointの先端付近に傷があることがわかる。
つまり、
MBの作業長は12.5mmだ。-0.5mmもしない。12.5mmでMLと合流しているからである。
MBも再根管形成していった。
まずは#25.Vだ。
次が#40.04だ。
MBはMLへ合流していくのでMAFは#40,04で終了させた。
以上の工程をまとめると以下になる。
Patency Fileをして根管充填した。
支台築造して、術後にPAを撮影した。
術後のPAからはM根のシーラーパフも見て取れる。
緊密に根充されていることの証左だ。
DはBC sealer+Well Pulp PT根充だ。
ここは切ることが前提になっているのでこのままで問題ないだろう。
術後にCBCTも撮影した。
#19 MB
#19 ML
#19 D
次回は#19 DのApicoectomyである。
また治療の続きを報告したい。