昨日は博多駅近郊某所でLocal Anesthesia in Endodontics 2021が行われた。

麻酔の座学をメインでやるのではなく

実習中心になるように解説した。

使えない座学は何よりも眠いことは6年間の歯科大学生教育で実感したでしょう???

10:00~講義を行い、午前中は座学を行った。

代表的な麻酔について解説した。

日常的によく使用されている麻酔の特徴やその特性について解説した。

アメリカでは使用される麻酔には多様性があるが、日本には多様性がない。

日本で使用できる麻酔はキシロカイン(オーラ注)、スキャンドネスト、シタネストオクタプレッシンしかなく、その特徴は多くの先生が指摘する通りである。

つまり

キシロカイン以外は使えない

のである。

しかしながら、それは事実だっただろうか?

Cohen 1993

これが事実ではないという実感は午後からの実習で体験いただけたと思う。

このように麻酔のセミナーは実際に麻酔を打つ&打たれてその効果を実感できるものでなければ、絵に描いた餅になってしまう。

その点でもこの日のセミナーは大成功だっと言えるだろう。

またアメリカを中心によく聞く麻酔として出回っているアーチケインは本当によく効く麻酔だろうか?

これを某社と某社が日本に取り入れようとしていた(している?)らしいが…まああまり意味がないだろう。

なぜか?

それは今日の話を聞けばわかるだろう。

道具に使われるのではなく、使いこなせるようになるのがスマートである。

最後に、長時間効くと言われる麻酔(マーカイン)について解説した。

どのように使用すれば長時間麻酔を維持させることができるだろうか?

それは以下のどのような場合に限るということが分かっただろうか?

そして必ずなければならないものだっただろうか?

あなたに必要なものだったかどうかをもう一度考えてみよう。

そして以下の通り上顎・下顎の伝達麻酔について解説した。

上顎には何種類伝達麻酔があるだろうか?

それを即答できるだろうか?

そしてどのような場合に必要だろうか?

あなたは理解ができただろうか?

それぞれ何をどのように用いればいいだろうか?

頭は整理できただろうか?

上顎に伝達麻酔があるということをインド人の学生に聞かれて初めて知ってしまったという、USC時代の私の恥ずかしい話(PSAしたけど麻酔が効かない、助けてくれ!と言われて困惑した話)をあれをやるときは思い出して欲しい。

そしてこの日のメインエベントが下顎の大臼歯の麻酔=伝達麻酔である。

なぜ通常の浸麻ではダメだっただろうか?

そしてどのようなストラテジーで治療を進めていくべきだろうか?

麻酔をより効かせるために重要なのは何だっただろうか?

術前に何を投与し、術前に何を吸わせればよかっただろうか??

抗不安薬は麻酔の効果を高めただろうか?

わからなければメッセージを送っていただきたい。

さてこの手の麻酔には動画が必須である。

動画はYoutubeに存在する。

しかも麻酔は歯科衛生士がしている。

https://www.youtube.com/user/hygieneedge/videos

ここまでを午前中に講義し、午後から実習へと移行した。

実習は

①伝達麻酔(キシロカインvsスキャンドネスト)を左右

②PSA

③X-tipによる歯槽骨麻酔→Youtube動画を参考:https://www.youtube.com/watch?v=FCoY_UC1iyw

を行い、Cold testして麻酔が効いていたか?を確かめた。

なかなかの盛り上がり?を見せた実習であった。私の記憶にもしっかりと刻まれたのであった。

以下はこの日のセミナーに出てくれたある先生の感想である。


松浦先生

本日はご教授いただきありがとうございました。

麻酔の知識から実際にどう打つか、講義・実習を通してよく理解できました。 

これまでの学部教育とは一体何だったのか?という感じです。(もう先生が教鞭を取った方が世は平和になるんじゃないでしょうか)

同時に如何にこれまで自分が盲目的に麻酔を行なっていたかよく分かりました。

今回のセミナーを受講して、明日から患者の痛みに対して自信と確かな戦略をもって臨めそうです。

参加させていただき、本当によかったです。

ありがとうございました。


また別の参加者からは以下のような感想があった。

松浦先生

本日も大変有意義な研修を受講させて頂き、ありがとうございました。

大学では教わらないような局所麻酔のエビデンスや手技について学ぶことができてよかったです。

また相互実習にて上顎の伝達麻酔が経験できたのもありがたかったです。

今日学んだことを忘れないうちに、早速臨床で実践してみたいと思います。


日本の歯科医療教育は残念ながら無力だ。

正しく麻酔をすることさえもできない。

誰も何も伝えることもできない。

私は長崎大学での麻酔の当院実習を今でも覚えている。

交互に友人と伝達麻酔を打ち合うのだが、

「痛い、痛い、やめて〜!!」

それからはトラウマだった。

それが解消されたのは、USCでである。(後述する)


歯科大学は自動車学校のように成り下がった。

それは全て国家試験のおかげである。

国試合格という鼻くそみたいなものを手に入れるために血眼になって職員は国試教育を頑張っている。

某歯科大学は今の定員(100人)中、20人しか通らないと聞いた。

そんな学校に私は子供を預けることはできないだろう。

なぜこんなことになったのか?

それは、定数を減らせ!という国の命令に従わなかったからだ。

国は出口(歯科医師国家試験合格者)をぎゅっと絞った。

結果、30代で歯に詳しいおっさんが続出したのである。

これは契約違反だ。

歯科医師国家試験は、資格試験ではない。

こんなことをやってていいのか?という疑問はちなみに歯科医師にはない。

それはもう国試をしなくていいからだ。

アメリカであれば集団訴訟の対象になるという話も私はかつて某研修会で聞いた。

でもおとなしい日本人が刃を向けることは決してないだろう。

そして、いつも泣きを見るのは若い先生だ。

今の歯科医院経営者はいい時代を過ごしてきた。

若い先生は冬の時代である。

あなたがお金がないなら、一攫千金を獲得する方法を考えなければならないだろう。


話を麻酔に戻す。

私はUSC時代、子供に伝達麻酔ができるという事実も知らなかった。

5歳の女児に伝達麻酔をしろという命令に、

子供に伝達麻酔ができるのか?

と逆質問してしまった。

私にそれが可能であるという事実を教えてくれたのは南アフリカ人の歯内療法専門医(ファカルティ)と日系のハワイの歯科衛生士だ。

浸麻しかできない自称歯内療法専門医に誰が根管治療を頼むだろうか?

もう少し足元をきちんと見た方がいいだろう。

何が基本で何が最低限必要なことなのか?この国の大半の人は理解がない。

しかし理解がなくても生きれる。

夕飯後に私の携帯にかかってきた臨床相談がそうであった。

人はしがらみの中で生きているのでそれから逃れることができないのである。

しかし、先生たちにはしがらみがありますか?

ないでしょう?

ないというか、そんなものを感じる必要性がどこにありますか?

あなたは誰を見て臨床しますか?

目の前の困った患者さんを治療することが先生たちの使命なのです。

今日行ったことを復習して、そして患者に実践してください。

プラス、もし来年以降実習のみに出たければ実習費用のみをお支払いいただければ参加できるようにしますのでよろしくお願いいたします。

1日、お疲れさまでした。