先日、博多駅近郊某所でBasic Course 2021 第8回が行われた。

今回のテーマは再根管治療の治療テクニックに関して。

再根管治療は治療テクニックに関する話題が多い。

が、成功率は適応症でなければ高くないことはこのブログを見てもらえればお分かりいただけるだろう。

歯内療法の成功率

実際の治療術式に応じて解説を行なった。

これは今までと変わらない。

が、変わった点があるとすればそのテクニックを少し見直してみた。

今回はその変更点をお伝えしよう。


変更点①:ポストコア除去と超音波、その際発生する温度上昇の関係

超音波による治療の各種捜査は、注水を行わなければいけない時、それが必要ない時がある。

それを体系的に分析してみると、

例えばポストコア除去時には注水は必要であるが、それ以外では不要なことが多い。

しかし、無水で使用すると対象部位の温度が上昇しある温度以上になると組織が壊死する。

私はその経験がUSCである。

相手はタイ人だった。

英語が喋れないので毎回通訳として娘か婿(アメリカ人)が来ていた。

VP-tipを注水しながら注意深く使用したが、組織が壊死して飛んでしまった。

が、私の上級生はSurgeryに移行し彼が卒業してからはナイジェリア人がその看護に当たったが、外科は成功しているのになぜか痛いというとカルテにある通り、おそらく抜歯になったのだろう。

ああ、私がもっと堪能な英語を喋ることができれば…

一般的に体温+10度以上の温度上昇が一定時間続くと、組織は壊死すると言われている。

(この話はインプラントから出てきている。)

思い出すのもがっくりするような、黒歴史だ。

さて話を元に戻す。

どれくらいの時間、無注水で超音波は使用できるだろうか?

さて、何秒以内無注水で使用できるだろうか?

このグラフから参考にしてみよう。


変更点②:Fiber Post除去

Fiber Postを除去する際は、超音波よりもエンジンで削った方が早いとされるが実際は曖昧になっていることが多い。

以下の論文の結果の一部がそれを代弁していると言える。

Lindemann 2005

PRTはPost Removal Times(ファイバーポスト除去に要した時間)で、

REはRemoval Effectiveness(除去効率)だ。

このグラフからわかることは、超音波は除去に時間がかかるが、除去効率はいいということだ。

もっとわかりやすく言えば、

時間はかかるが、綺麗にレジンをとれることができるということを意味する。

となれば、長時間超音波を歯に当てるので火傷の心配が生じる。

昔、Youtubeで私が米国で購入したP-maxがエアーが出ると知って購入するきっかけになった動画があった。

今も探すと…出てきた。

これは歯牙にAirがかけれるので火傷を防止できるはず、だった…

しかし、PmaxからAirは一切出なかった…悲しい思い出だ。

それはさておき、火傷をさせないようにするにはどのように超音波を使用すればいいだろうか?

どのように使用すればいいかわかればその次はどのようにしてそれを除去するか?である。

便利な超音波スケーラーの会社がある。

Helse Ultrasonic

この会社の特徴は世界対応しているところである。

日本には輸出できない、という米国の歯科会社もあるが(例:Brasseler USA)この会社は関係がない。

証拠がアカウントを作成する際の、以下の国選択だ。

日本にもきちんと対応している。

この超音波スケーラーの中の、E15 The Finderが私のお気に入りである。

ファイバーポスト除去に効果を発揮する。

以下の動画を参考にしていただきたい。

持つものが持たざるものよりも勝つのがこの分野の特徴と言える。

より良いアイテムを得るためには、日本国内ではなく海外にもアンテナを張り巡らせる必要があるだろう。


変更点③:XP-endoの使用

XP-endo ShaperはGutta Percha Pointの除去に有利と一部では言われている。

コストを無視してでもこの新しい器具を臨床導入するか?は意思決定が必要だ。

そして練習も必要だろう。

まずは販売業者に耳を傾けてみようということになった。

これに関しては今後も報告したい。


変更点④:MTAセメントの練和と充填方法

この方法に関してはもういいだろうと思っていたが、世の中が時代に追いついてきたのかもしれない。

最近は、MTAで診療する若い歯科医師も増えてきたようだ。

そこで、どのように練和するか?練和したMTAをどのように乾燥しないように保全するか?について話をすることになった。

以下の動画で復習をしよう。


以上が今回のセミナーから変更して伝えた部分である。

歯内療法に限らず、医療は常に進化し、進歩し、改良される。

そして変わらないこともある。

それらを押さえることが上達への近道と言える。

今日も1日お疲れ様でした。

次回は、再根管治療の実習を行います。

よろしくお願いいたします。