以前の治療のリコール患者さん。

初診は2017.7.12で、他院からの紹介の患者さんであった。

主訴は#18の根管治療が終わらない。もう3年近く治療している…

病歴は3年前より、3件の歯科医院(他院で。この紹介先は含まれない)で#18の再根管治療をしているが、打診痛および咬合痛がひかないというものであった。

ここまで聞いて、あなたはどう思うだろうか。

やばいやつがきた!と思うだろうか?

私は思わない。

そう思うあなたが、病んでいる。

患者をキチガイ扱いしないでもらいたいものだ。

歯内療法学的検査は以下になった。

#18 Cold N/R, Perc.(-), Palp.(++), BT(++), Perio Probe(WNL),Mobility(WNL)

#19 Cold+3/5, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)

#20 Cold+2/6, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)

PAは以下になる。

モスキートでデンタルは非常に取りにくいという思い出がある。

奥に入れるとフィルムが曲がるし、そうならないようにキツく持てばフィルムに傷がついてしまう…

以降、私はFEEDのX線フィルムホルダーを使用することになった。

記念すべきその1回目が、以下のPAである。

全く写りに問題がなかった。

しかし問題は根尖病変がないのになぜ歯が痛いのか?という疑問だろう。

それはラバーダムをせずに治療して細菌が根管の中に入ってしまっているのが原因である。

これを止めるには、ラバーダムをかけ直して再根管治療をするしかない。

それでもうまくいかなければ、外科治療である。

Intentional Replantationになるが、

脱臼すれば抜歯は容易である

ので問題はない。

それでもそんなことあるか!というあなた。

では、以下の動画の静止画を見ても私のいうことが信じられないだろうか?

某歯内療法の有名人がIntentional Replantationを行なっている動画である。

名のあるアンドレザジャイアントが脱臼していれば、明日からあなたも?脱臼賛成派に??なるのかもしれない。

ということで、歯内療法学的診断は以下になる。

#18

Pulp Dx;Previously Treated

Periapical Dx;Symptomatic apical periodontitis

Recommneded Tx:Re-RCT+Core build up w/wo Fiber Post

ということで治療計画に同意され、再根管治療を行うことになった。

ラバーダム下で処置を行なっている。

PAに映るクランプはその証拠である。

以前の歯科医院では歯磨きができないと(根管)治療ができないとのたまわれたらしい。

そしてそれに付き合って、ようやく治療だ!と思ったら、担当医は抜歯してインプラントを勧めたという。

こういうのを

体のいい詐欺歯科医療?

というのである。

きちんと覚えておこう。

そして患者さんは昔の博多駅東のまつうら歯科医院 歯内療法専門室に行き着いたのであった。

根管充填した。

支台築造した。

経過観察(3ヶ月後, 2018.1.11)が行われた。

この時、咬合痛や圧痛は消失している。

魔法にかけられたみたいだと患者さんは感動していた。

経過観察(9ヶ月後)が行われた。(2018.7.25)

症状は全くない。最終補綴がそのことを証明している。

この後、私は経過を見せていただけるはずであったが、脳出血で倒れてしまいそれが叶わなかった。

しかし、この日患者さんは来院していただけた。

またしても経過を見ることができたのである。

経過観察(5年後)が行われた。(2022.2.17)

臨床症状はない。

根尖病変は存在しない。

患者さんは変わらず元気であった。

以下、患者さんの感想。


先生、倒れたと聞いてびっくりしましたがお元気でしたか!

倒れたとスタッフさんから聞いてびっくりしました。。。

私はあれから全く何もなく過ごしています。

同じ治療でもこれだけ結果が違うのかと今でもびっくりしています。

周りでこの治療が必要な患者がいたら先生を薦めておきます。

これからもよろしくお願いいたします。


ということで約4年ぶりの治療後5年経過のRecallが終了した。

私はRecallでこのように、喜ばれることはあっても非難されることがない。

それは歯内療法が持つ成功率90%の魔力?なのかもしれない。

破折がなければ歯を保存可能なのである。

こういう臨床家になっていけば、患者さんの信頼は勝ちとれるだろう。

このブログを見ているあなたも、こんな臨床家になってください。