経過観察処置。

患者さんは5年前に博多駅東のまつうら歯科医院で治療していた。

初診時は2017.11.16

主訴は

虫歯で紹介元で抜髄してから(2016年),咬合痛がありものが噛めない

もう1年以上根管治療の問題で悩んでいる。


多くの日本の患者の皆さんへー

こんな不思議なことがあるのか?といえば、

これが日本の歯科医療の平常運転なのです。

なんら不思議なことではありません。

なぜこうなるか?考えたことがありますか?

安い治療費に高い材料代。

吉野家で牛丼を作るレシピでどうやってフランス料理のフルコースを作れと言うのですか??

歯科医療はままごとではありません。

高度な医療技術のはずなのです。

が、現状では日本は世界で最も低い治療費になっています。そして患者は好き放題騒いで主張します。それで心を病む歯科医療従事者がどれだけ多いことか。

まあ、歯科医療従事者がほとんど悪いのだけども。


歯内療法学的検査は以下になる。

#4 Cold+3/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Prope(WNL), Mobility(WNL)

#5 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(++), Perio Prope(WNL), Mobility(WNL)

#6 Cold+3/5, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Prope(WNL), Mobility(WNL)

PAは以下になる。

主訴が検査で再現できている。

ということは適切な処置をすれば治癒する可能性が高い。

歯内療法学的診断は以下になる。

#5 Pulp Dx:Previously Initiated Therapy, Periapical Dx: Symptomatic Apical Periodontitis

Recommended TX:Re-RCT+Core Build up w Fiber Post

何度も言うが、患者が根尖病変もないのに#5に咬合痛があるのは、誰かがラバーダムなく根管治療しているからだ。

細菌を歯から出す代わりに、根管の中にたっぷりと混入させている。

これは私が思うに、何度言っても絶対に変わらない、日本の歯科医療のよくある姿である。

なぜ直らないか?教えてあげましょう。

それは、日本の歯科医療は保険診療で支配されているからである。

誰も責任を取らないのである。

私が思うに、研修会等で歯内療法を”わかっている”人だけ治療すればいいのだが、ここは架空の国?日本だからそういうわけにはいかない。

世界一安い治療費で今日も四苦八苦働いている保険医が気の毒になるが、それも私の知ったことではない。

ということで患者さんは治療計画に同意し、再根管治療に移行した。


Re-RCT(2017.12.14)

治療内容は以下になる。

ポイント試適した。

問題ないと判断して、根管充填した。

支台築造を行った。

シーラーパフが根管治療が適切に行われていることを示している。


Re-RCT 3M later(2018.2.18)

治療から3ヶ月が経過している。

咬合痛は消失していた。

なぜか?ラバーダム下で再根管治療をしたからである。

嘘だろ!と思うなら同じようにしてみよう。

きっとあなたも同じ結果が?得られるかもしれない。

ここで最終補綴にGo signを出した。


Re-RCT 8M later(2018.8.22)

最終補綴が装着されていた。

いかなる痛みももうなくなっている。

さらに1年後に経過を見せていただくはずであったが、私が倒れてそれができなくなってしまった。

が、この日に患者さんは来院していただけた。


Re-RCT 5年経過(2022.5.11)

いかなる臨床症状もない。

歯内療法学的検査を行ったが、全て陰性であった。

Perc.(-), Palp.(-), BT(-)である。

と言うことで5年予後は無事問題がなかった。

以下、患者さんの感想。


先生、ありがとうございました。噛んだら痛かったのですがもうあれからどうもありません。

この歯が長く使えるように努力していきます。

今後ともよろしくお願いいたします。


このまま経過してほしい。

来年もまた紹介しよう。