バイト先での治療。

患者は60代女性。

主訴はない。

補綴のやりかえによる根管治療である。

一応歯内療法学的検査は行っている。

#31:Cold(+), EPT(+34/80), Perc.(-), Palp.(-), Bite(-), Periodontal Probe(WNL), Mobility(WNL)

#30: Cold(-), EPT(N/A), Perc.(-), Palp.(-), Bite(-), Periodontal Probe(WNL), Mobility(WNL)

Endodontic Dx

Pulp Dx: Previously Initiated Therapy

Periapical Dx: Normal

Recommended Tx: Re-RCT

PAを撮影した。

さて、貴方は治療前に患者に何と告げるだろうか?

この歯内療法の成功率はどれくらいだろうか??

即座に答えが出るだろうか??

でなければもう歯内療法をすることはやめたほうがいいだろう。

近心根の先にlesionがあるじゃないか??と疑った貴方。

いい目をしている。

しかし、根尖病変の定義はNormal PDL(歯根膜空隙)の2倍以上である。

上記のPAで見えるRadiographic periapical lesionはNormal PDLの2倍以上だろうか??

私にはそう見えない。

したがって歯内療法学的病名は以下のようになる。

Pulp Dx: Previously Initiated Therapy

Periapical Dx: Normal

となれば、治療の成功率はどれくらいだろうか??

これが予想できただけで貴方は歯内療法のSpecilaist?と言えることができるだろう。

ということで、外科治療を行う可能性があることも告げた上で、再根管治療が開始された。

作業長などは以下のようになった。

MB:閉鎖, MAF=HyFlex EDM #50.03, #40.04 Gutta Percha+BC sealer, Single Point Obturation

ML:閉鎖, MAF=HyFlex EDM #50.03, #40.04 Gutta Percha+BC sealer, Single Point Obturation

D:閉鎖, MAF=HyFlex EDM #50.03, #40.04 Gutta Percha+BC sealer, Single Point Obturation

MAFとGutta Perchaのサイズが違うのはなぜだっただろうか??

全て穿通しなかったが問題だろうか???

ということで根管充填し、コア用の支台築造し、PAを撮影した。

Fiber postは周囲4壁を歯質で囲まれているため使用していない。

気泡がMLの根管口に入ったものの、おそらくこの形態であればコア用のレジンが外れることはないだろう。

さてこの症例から学ぶことは何かあるだろうか??

といえば、

①予後の予測が可能

②築造はレジンでも大丈夫

ということくらいだろう。

しかしながら予後の予測が可能であればこれほど容易に治療結果を提示できることはないだろう。

その意味でも貴重な?症例と言えるかもしれない。