紹介患者さんの治療。
住居は福岡から遠い場所である。
主訴は
歯が痛くて夜寝れなかった。物凄く痛い。痛み止めも効かない
であった。
話を詳しく聞くと右下の奥歯が痛むという。
今は痛みから咬合痛に変わっていきつつあるそうだ。
指でさせるか?聞いたら#31だという。
#31を中心に歯内療法学的検査を行った。
#30 Cold+3/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#31 Cold++1/30, Perc.(++), Palp.(-), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
PAは以下になる。
RCT術前PA(2022.9.2)
#31は歯髄を保護させるために何らかの材料を置いて覆髄している。
こうしたことを行うと、
石灰化というのちに根管治療が必要になったときのリスクを抱えることになる事象が起こるのだが前医はあまりそこまで考えが及ばなかったようだ。
実際、近心根はPAではほとんど見えない。
嫌な予感がする根管だ。
根管形成が所定の位置(我々の業界ではApical Foramen-0.5~1.0mmと言われる)までできるだろうか?
ちなみにこの患者さんはCBCTも撮影してもらっていた。
術前 CBCT(2022.9.2)
遠心には根尖病変が見える。
診断は以下になる。
#31
Pulp Dx:Symptomatic Irreversible Pulpitis(Partial Pulp Necrosis?)
Periapical Dx:Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx:RCT+Core build up
推奨される治療は根管治療である。
ロキソニン+カロナールを服用していただきその1時間後に伝達麻酔、頬側に通常のキシロカインを打ち、治療前にCold testを行った。
治療前はCold++1/3であったが、麻酔後は無反応である。
私と同じようにおそらく歯髄が壊死している可能性が高いのだろう。
いずれにしても、今が治療のチャンスだ。
ということで、根管治療がスタートした。
#31 RCT+Core build up with Fiber Post(2022.9.2)
☆この後、治療動画が出てきますので不快感を感じる方はご視聴をお控えください。
根管は以前の生活歯髄療法のために石灰化が進んでいた。
根管口が見つからない…
CBCTを使用して超音波でC-shaped canalの根管口を探索した。
遠心根をまず発見した。
これは容易である。
次がML根である。CBCTを見ながら超音波とエンド用の短針で探索した。
石灰化した根管はこのように鋭いエンド用の短針とCBCTを用いて根管口を探していく。
ML根が見つかった。
あとはMB根だ。
近心根と遠心根の間にそれはあるはずだ。
MB根も発見した。
ML根に合流していた。
作業長等を計測した。
BC sealerと根管充填した。
支台築造まで行い、終了した。
次回は半年後である。
またご報告したい。