同じ根管治療でもうまくいく場合と行かない場合がある。

うまく行かない?治療の代表例がPreviously Initiated Therapyだ。

Previously Initiated TherapyとはAAEによれば、

A clinical diagnostic category indicating that the tooth has been previously treated by partial endodontic therapy (eg, pulpotomy, pulpectomy).

とされている。

以前に断髄、または根管治療された歯とある。

誰かが根管治療をすれば既に通路ができてしまうので理想通りの根管治療にならない。

例を挙げよう。

患者さんは歯科医師の方で#18,19のRCTが必要であった。PAを見ていただいたら分かるようにPreviously Initiated Therapyである。

CBCTは以下のようになる。

頬側面観

近心根

遠心根

近心も遠心もほぼ根尖部まで形成してありそこで問題が生じているので治療が難しい。

こう考えると、私はPreviously Initiated TherapyはほぼほぼRe-RCTではないか?と思ってしまう。

さて、この根管治療をおこなった。

治療内容は以下である。


ポイント試適をおこなった。

根管充填すると以下のようになった。

私の形成が酷かったのだろうか?といえばそうはいえない気がする。

以下のPAを見ていただきたい。

別の患者さんである。

#18がPreviously initiated therapyの続きの治療いわゆるRe-RCTであり、#19がInitial RCTである。

#18 Re-RCT時(2022.4.12)

ポイント試適

遠心根は根尖孔が見えていたため、BC puttyで根管充填した。

以下になる。

遠心はレッジができておりそれを乗り越えることができなかった。

PAを見た私はガックリした…

これが私のレベル?なのか。。。

しかしながら、この後に治らなければIntentional Replantationを行うだけである。


では、#19はどうだろうか?

#19 Initial RCT(2022.6.2)

伝達麻酔、long buccal injection後に頬側に浸潤麻酔をして根管治療へ移行した。

ポイント試適(2022.6.2)

根管充填時(2022.6.2)

#18,19の2つの根管治療を比べてどうだろうか?

自分で根管をコントロールができる#19は美しく見えるが、コントロール不可能な#18は再根管治療にしか見えない。

Previously Initiated Therapyはその点では、Re-RCTを行うことと変わらないので臨床家にとっては不利な治療と言えるだろう。

以上、臨床における注意点を皆さんに提示した。