非常勤歯科医師の治療についてどうなのか?と聞かれることがある。
しかし、彼らがどういう経歴でどうこうという話をするよりも、症例を出して報告すれば皆さんがそれをみて理解できるだろと考えたので、これからは勤務医の先生の歯科治療もブログ、勤務医の先生の治療の成功率のコーナーを作成し、ホームページに掲載することにしました。今日と明日は勤務医の症例を提示したいと思う。
当歯科医院に受診を考えている方は、近々公開されるそれらのページも参考にしてみてください。
今日はもう一人の非常勤の先生の治療の報告を行おうと思う。
野間先生の治療である。
患者さんの主訴は複雑だ。
主訴は
今年の5月末から某病院歯科に通院している(1ヶ月に4回くらい)が治療してくれない。
そこではインプラントばかり勧められる。
私はブリッジ希望なのだが…2ヶ月もかかって何もスタートしていない。
右下#30,31に2年半前に近所でインプラントしたが噛み合わせが合わない。
左下#18,19もインプラント予定だったが前回うまくいっていないので中止して某病院歯科に通院している。
私は左下の臼歯を残したい。
なぜ私は歯を抜かなくてはならないのか?もう残せないのか?何とかその歯を保存してブリッジを装着したい。
であった。
本人はブリッジがしたいのにインプラントを歯科医師が薦めてくると言う。
これは一つ覚えた方がいいことがある。
治療計画につまずいた時だ。
一体、誰が治療内容を決めるのか?と言えば
主治医ではない。患者さん自身である。
あなたが治療内容を決めることはほぼない。
あなたがすることは治療の選択肢を与えるそれだけである。
この何が難しいと言うのだろうか?
そもそもどう言う治療をするか?は患者の自由である。
しかも命に関わり合いがない。
色々な病気と関連づけたい歯科医師はたくさんいるかもしれないが、いまだにどのような病気とも因果関係がないということだけがわかっている。
そこを履き違えてはいけない。
ということで歯内療法学的診査が行われた。
歯内療法学的診査(2022.8.4)
#17 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(+), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#20 Cold+3/1, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#21 Cold+4/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
PAは以下になる。
初診時 PA(2022.8.4)
初診時 CBCT(2022.8.4)
#17 M
何も知識がない人がこのCBCTを見ると
”歯が割れている”とか”折れている”とか言うだろう。
何度も言うが、
折れているかどうはその歯を抜いて直接歯を見なければわからない。
#17 D
遠心根も長い根である。
根尖病変もあるので穿通が必要だ。
が、この歯を抜く理由は正直ない気がする。
この歯がブリッジの支台歯として使えるのか?といえば、問題なく使用できるだろう。
その後の治療は修復治療医の仕事である。私にはわからない。
ということで歯内療法学的診断は以下になる。
#17
Pulp Dx: Pulp Necrosis
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: RCT
通常通り根管治療を行えば残せる歯牙だと説明した。
が、院長だと治療費が高いということで勤務医の先生の治療になった。
実際の治療は別日に行われた。
#17 RCT(2022.11.15)
☆この後、治療に関わる動画が出てきます。気分を害する方は試聴をSkipしてください。
まずチャンバーオープンし、根管口を見つける。
根管口を見つけたら鋭い短針で根管口を突き刺し、SXの通路を確保する。いわゆるスカウティングである。
その後、
窩洞内をヒポクロで満たしてSXで根管形成する。
するとモーターが逆回転することはない。
ヒポクロで満たしたら根管口が見えなくなるのではないか?と言う人がいる。
おそらくそう言う人は、
今までそれをやったことがない(経験がない)
か
頭が硬いか
どちらかだろう。
こうして手用ファイルが入る入口を作っていく。
実に単純な理論だ。
その後、作業長を測定していく。
すると以下のようになった。
ポイント試適した。
問題ないと思われる。
BC sealerで根管充填した。
問題なく根管充填もできている。
支台築造して終了した。
患者さんは1回で根管治療が終了したことに驚愕していた。
今までの時間は何だったんだろうと言う話である。
これが鍛えられた(訓練されている)歯科医師が行う歯内療法のパワーである。
パワーがない人が治療してもこうはいかない。
次回は半年後である。
その時、この歯がどうなったか?をまたご報告したい。